行政書士資格を持つ新卒はどこに就職できる? 行政書士になりたいあなたにリアルな就活アドバイス!

行政書士資格を持つ新卒はどこに就職できる? 行政書士になりたいあなたにリアルな就活アドバイス!


大学在学中に行政書士試験に合格すれば、新卒でも簡単に行政書士事務所に就職できるだろう。多くの人はそう思いますよね。しかし実際は、行政書士事務所の求人自体が少ないといわれています。では、一般企業へ就職するなら、行政書士資格は有利になるのでしょうか。

この記事では、行政書士試験に合格した新卒生の就活についての実態レポートに、実践的アドバイスをあわせて詳しくまとめていきます。

1 行政書士事務所の求人は少ない

行政書士事務所の新卒採用は、探すのがかなり難しいのが現状です。新卒採用が少ない、ということではなく、採用そのものをおこなう事務所が少ないのです。

(1)直接電話、ハローワークで探すのも良し

行政書士事務所の採用活動では、縁故の割合も高いようです。ですので、行政書士事務所の求人を探している新卒生は、あまりの求人数の少なさにうなだれてしまうかも知れませんね。

それでも、潜在的に求人はあるはず。インターネットで行政書士事務所をエリア検索したり、ハローワークにも足を運んでみたりしましょう。行政書士の求人案件を見つけたら、新卒採用もおこなっているかどうか、直接問い合わせてみるのも良いでしょう。

(2)社会保険労務士(社労士)、税理士事務所よりも厳しい

社労士や税理士事務所の新卒採用はどうでしょうか。

社労士事務所、税理士事務所の新卒採用は、行政書士の場合よりもずっと門戸が開かれています。新卒生がずっと就活しやすい環境です。

2 「勤務行政書士」はない

そして、行政書士の就活で最も注意すべきことは、「行政書士は一般企業に行政書士として勤務できない」ことです。

社労士には「勤務社労士」登録があるので、一般企業に雇われて社労士としての能力を発揮することができます。しかし、行政書士は勤務先企業で行政書士として働くことはできないのです。このこともまた、行政書士試験に合格した新卒生の就職を、困難にしている要因の一つです。

(1)登録後は必ず行政書士として働かなければならない

行政書士法には、副業を禁止する規定はありませんが、各都道府県行政書士会が設ける会則は、一般企業に行政書士として雇われることを禁止しています。

それでは、新卒生が行政書士事務所に就職できなかったら、独立開業しない限り行政書士業務に携わることができないのでしょうか。これについては後ほど詳しくお答えします。

多くの士業がそうであるように、行政書士は試験に合格しただけでは、行政書士として働き報酬を受けることはできません。

日本行政書士連合会が備える「行政書士名簿」に登録をして、初めて行政書士業務をおこなえるようになります。そして、登録後は必ず行政書士として働かなければいけません。

(2)「登録即入会」とは?

社労士もそうですが、名簿に登録すると即、各都道府県の行政書士会にも入会処理されます。この制度を「登録即入会」と呼ぶのですが、各都道府県の行政書士会に入会した時点で、行政書士は一般企業に「行政書士」として雇われることを禁止されます。

この「登録即入会」制度は、昭和58年の法改正から施行されています。それまでは、「登録」だけして行政書士業務をおこなわない(各都道府県行政書士会会則によれば「おこなうことができない」)行政書士は存在しました。つまり、行政書士登録をしたものの一般企業に勤務して、資格と関係ない業務に就いても、何ら問題がなかったわけです。

しかしながら、現在は以下のような構図になっています。

登録 = 入会 = 開業 = 受任義務の発生

行政書士登録すると、事務所を構えて表札を掲げることが法律的に義務化されます。事務所を構えれば仕事や相談が舞い込みますが、「受任義務が発生」した場合、行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」が問題になってきます。

(3)行政書士法「依頼に応ずる義務」とは?

行政書士法は、行政書士の独占業務を規定してくれる法律であるのと同時に、行政書士が果たすべき義務も定めています。そのなかでも特に、行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」は、開業行政書士を目指す新卒生なら覚えておくべき内容です。

「依頼に応ずる義務」とは、独占業務を許されている行政書士は、依頼があれば正当な理由がない限り依頼を受ける義務があると定めるものです。これに鑑みると、登録したらたとえ一般企業に勤めていても、依頼された仕事は全うしないといけないことになります。

3 副業行政書士になる

これまで、新卒生が行政書士として働くには、以下の道しかないことをお伝えしてきました。

①求人数の少ない行政書士事務所に就職する
②独立開業する

しかし、もう一つ「副業行政書士」という道があります。「週末行政書士」とも呼ばれますが、この方法なら一般企業に勤務しながら、行政書士として働くことが可能になります。

行政書士法は副業は禁じていません。ですので、収入源として一般企業に就職しながら、行政書士業務を請け負い、勤務後や週末にこなしていくことは可能です。これなら、生活基盤も得ながら行政書士としてのキャリアを積むことができます。

(1)就業規則はよく確認しておく

しかし、勤務先の就業規則が副業を禁じている場合は別問題です。

近年、政府により「副業解禁」が叫ばれたことから、会社は副業を認めざるをえない社会的風潮が生まれました。例えば、行政書士試験に合格した新卒生が、週末は行政書士業務に携わりたい旨を表明したことで採用を見送るような企業は、「時代遅れ」と捉えられてしまうかもしれません。

行政書士法には副業を禁止する規定は見つけられないのですから、職場が副業行政書士に関して理解を示してくれさえすればよいことになります。

(2)平日の時間が確保できる職場に就職する

しかし、副業行政書士には、勤務先の規則以外にもう一つネックがあります。それは「官公署の開所時間である平日の9時〜17時に、会社にいる」ということです。

行政書士の独占業務といえば許認可申請手続きを筆頭として、主に役所に行かなければならない仕事です。その時間帯を会社に拘束されるのですから、副業行政書士という選択肢はなかなか難しいことが分かります。将来、手続き業務がオンライン化されればこの悩みは解消されるでしょうが、まだまだ時間がかかりそうです。

しかしこの困難な状況も、以下のような方法で打破することができます。

行政書士を副業にしたときの問題 解決方法
役所に申請書類を提出する時間がない ①フレックスタイムを利用する
②営業など時間の融通が付く仕事に就く
③教育産業など、勤務時間が遅い仕事に就く
顧客の相談を聞く時間がない オンラインを利用する ①勤務後・週末にZoomなどを利用
営業活動をする時間がない ②ホームページやSNSを強化

平日の9時〜17時に役所に行く時間を作るには、会社がフレックスタイムを採用していたり、営業など時間の融通が付く仕事に就いたりすることで解決します。また顧客対応や集客も、今般の新型コロナウイルス感染拡大でスタンダードになりつつある「オンライン」で対応しましょう。

また、実践的な方法として提案したいのが、勤務時間が遅めの仕事に就きながら、行政書士業務を副業するスタイルです。生活はハードになりますが、これなら役所に行く時間や顧客対応の時間を十分に確保しながら、会社勤めをして生活費を確保できます。

学習塾や資格予備校講師などが、この条件に合致した仕事だといえそうです。この方法なら副業行政書士としてしっかり経験を積むことができ、将来の独立開業のために充実した準備期間が持てるでしょう。

ただ、どの職種と兼業するとしても、会社と揉めないように注意しましょう。副業が公然のものになると、周りに助けてもらえることもあるかも知れませんが、何か失敗したら「やっぱり副業してるからだ」と思われがちだからです。

会社の仕事もしっかりとこなせないと、せっかくの副業が成り立たなくなってしまいますよね。

4 サマリー

「企業内」「勤務」行政書士という採用がないことは、新卒生にとってはショックだったかもしれません。しかし、行政書士事務所への就職は難しくても、副業行政書士には、誰でも必ずなれます。頑張って取った資格は無駄になりませんので、そう思って就活に励んでほしいものです。

5 まとめ

・行政書士事務所の新卒採用は探すのがかなり難しく、そもそも採用をおこなう事務所が少ない。

・各都道府県行政書士会会則は、行政書士としての一般企業への勤務を禁止している。

・「行政書士名簿」に登録をしたら必ず行政書士として働かなければいけない。

・行政書士法11条「依頼に応ずる義務」は、依頼があれば正当な理由がない限り受ける義務があると定める。

・フレックスタイム、時間の融通が付く職種につく、「オンライン」活用に加え、勤務時間が遅めの仕事と行政書士の兼業もおすすめ。

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