難関資格試験の司法試験!その効率的な勉強法とは?

難関資格試験の司法試験!その効率的な勉強法とは?

司法試験は国内の多くの資格試験の中でもトップクラスに難関なものといわれています。この記事では、その司法試験にどうすれば効率的に合格することができるのかという点を、司法試験の制度、難易度・合格率から具体的な勉強方法まで詳しく説明しています!これから法曹になるために司法試験の受験を考えている人はぜひご覧ください!

 

1 司法試験の試験形式、難易度・合格率は?

司法試験の勉強法を理解するためには、まず司法試験がどのような試験で、どの程度の難易度のものなのかを理解することが不可欠です。そのためにもまずは司法試験の試験形式や難易度について見ていきましょう!

(1) 試験形式

司法試験は2段階の試験によって構成されています。「短答式試験」「論文式試験」です。

まず、「短答式試験」は用意された複数の選択肢のうち、正しいものや間違っているものを選択し、マークするといったマークシート式の試験となっています。試験科目は憲法・民法・刑法の3科目となっており、各科目ではそれぞれの法律の条文や判例等の知識、法的な推論の能力が主に問われています。

続いて、「論文式試験」は、法律的な問題・論点を含む架空の事例に基づいた問いについて論述するというものです。試験科目は公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・民事訴訟法・商法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)に加え、倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法(公法系) ・国際関係法〔私法系〕から1科目選択する選択科目の計8科目となっています。そして、論文式試験では、事例を法的に分析し、その解決へ向け法律構成をして、それを説得的に論述する能力が問われています。

以上のように司法試験は「短答式試験」と「論文式試験」の2段階の試験となっていますが、あくまで試験自体は連続した日程において行われ、合否は、両者の点数を合計した総合点に基づく総合評価で決まることとなります。ただし、短答式試験・論文式試験は各科目に最低ラインがあり、1科目で最低ライン(短答式試験:満点の40%、論文式試験:満点の25%)を下回った場合、総合点がたとえ合格最低点を上回っていたといてもその時点で不合格となってしまいます。

 

(2) 難易度・合格率

司法試験の難易度は簡潔に表現することはできません。しかし、確実に言えることとしては司法試験合格のために必要な学習範囲はとても広く、大量の勉強時間が必要となるということです。その点でコツコツと長期間の学習を続けることが求められる点が司法試験の難しさの一面といえます。

また、合格率は令和元年が33.63%、令和2年が39.16%、令和3年が41.50%と概ね20~30%前後を推移しています。これだけでは意外に合格率は高いように思えますが、母集団である受験者は法科大学院修了生もしくは難関である司法試験予備試験の合格者によって構成されるため全体のレベルは高く、安易にそこまで難しくない試験だとは思ってはいけません

(法務省データより作成)

2 司法試験の効率的な勉強法とは?

司法試験の具体的な勉強法の前提問題として、そもそも勉強は一般的にどのようにすれば効率的かつ効果的に行うことができるのでしょうか?また、司法試験の以前に法律はどのように勉強するものなのでしょうか。

(1) 勉強法総論

① 手を広げすぎない

勉強を進めていくうちに他の教材が気になってしまうことがよくあります。しかし、このような場合には、必要性が高いものでない限り、あまり新しいものには手を出さず、決めた教材を何回も繰り返し行うことが大切です。様々な教材に手を出してしまうと、どの教材も中途半端な完成度のまま試験を迎えることになりかねず、実際に多くの時間を割いて勉強していても、実力が追いつかないために不合格という結果になるおそれがあります。

特に司法試験は基本7法に加え、選択科目までも勉強する必要があり、他の各種資格試験と比べても範囲が非常に広いので、手を広げすぎず、厳選した教材を繰り返し行い、完成度を高めていきましょう。

② 常に目的を考える

勉強していく中で、「今日は7時間勉強をするぞ!」など勉強をすること自体が目的となってしまうことがあります。しかし、これはやってはいけない勉強法です。本来の目的は試験に合格すること、そしてそのための小さな目標・目的として例えば◯◯の処理をできるようにすることなどが位置づけられるはずです。このような場合、闇雲に勉強をすること自体が目的となっていては、目的達成のために必要ではない無駄な勉強を行うこととなり、その結果小さな目標・目的が達成できなくなるために最終目的の試験の合格も遠ざかってしまいます。

これを避けるためにも、今、自分はどんな能力を伸ばすためにこの勉強をしているのかという「目的」を強く意識した上で勉強に取り組むことが大切です。これにより目的達成のために不必要な勉強を削減することができ、勉強の効率化に繋がります

(2) 法律の勉強

① 条文の「要件」と「効果」を意識!

法律の条文の構造は基本的には一定の「要件」(条件)を満たすと「効果」(結果)が発生するという構造になっています。

例えば、民法第709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。この条文においては、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者(これによって生じた『損害』を)」という要件(条件)を満たすと「損害を賠償する責任を負う」という効果(結果)が発生するというものです。

このように条文の構造を意識すると多くの条文を読みやすくなりますし、論文式試験の答案にも良い面で反映されるというメリットがあります(後述)。

 

② 判例の勉強

①では法律の条文についてみてきました。加えて、法律学習において条文の他に重要なものとして判例があります。判例はどのように勉強すればよいのでしょうか。ここでは、そもそもなぜ判例を勉強しなければいけないかということをはじめに知ることが大切です。

法律学習における判例の位置づけは、条文だけでは解決できない問題や、条文の文言の意義が明らかでない場合に法律の趣旨などを解釈することによってその事案の解決を図ったものであるという点にあり、あくまで判例の根幹には条文があります。

したがって、判例を闇雲に読み、丸暗記するのではなく、どの条文の、どの文言の意義が問題となっているのかという問題の所在を認識することが非常に大切となります。その上で、判例の結論やなぜ判例がそのような結論に至ったのかという理由付けなどを覚えていきましょう。

3 司法試験 各試験の勉強法

ここまでは一般的な勉強法や司法試験に限られない法律の勉強方法について説明してきました。それでは、今までのことを前提とした上で、司法試験対策としては具体的にどのような点を意識しながら学習を進めていけばよいのでしょうか。試験科目の知識を学習するインプット、そして、アウトプットとしての短答式試験対策論文式試験対策の3つに分けて説明していきます。

(1) インプット

法律知識のインプット段階で意識する点は2点あります。

① まずは全体像を掴む

試験形式の説明にあるように、司法試験の科目はとても幅広く、量も大量にあります。そのような中でインプットを行う際にはまず各科目の全体像を掴むことが大切です。特に民法は条文だけでも1,000条を超え、範囲が膨大であるため、講義を1回聞いてだけで完璧にしようとすればいくら時間があっても足りません。

また、量が多いからという理由だけではなく、法律の学習においては全体像を知らないと理解しにくい箇所があるという観点からしても最初に全体像を掴むことは非常に重要です。

それが特に表れるのは民事訴訟法や刑事訴訟法などの訴訟の手続等を定めた手続法や民法です。手続法では、一連の訴訟手続の中で様々な利益調整が行われたり、前の手続が後の手続に影響したりする箇所があったり、民法では各条文に共通する一般的な事項については前の方の条文に総則などとしてくくりだすというパンデクテン方式が採用されているために、民法の条文を前にさかのぼって参照したりすることが多くあります。そのため、全体像が分からないと個々の細かい議論もなかなか理解できないといった性質が強いです。

以上のような理由から、まずは薄くでも構わないので法律の全体像を掴みましょう。もちろん手続法や民法に限らず、どの科目でも全体像を掴むことは大切です。1周目は完全に理解できなくても全く問題ないので、どんどん先の勉強に進みましょう!

② 時間をかけすぎない

インプットには時間をかけすぎないことが大切です。司法試験では論分式試験が合格への山場であるために、限られた時間のなかで合格するには論文式問題のアウトプットに時間をかけなければいけません。ただし、インプットをおろそかにしてよい訳ではないので注意しましょう。

また、インプットとアウトプットは相反するものではなく、アウトプットを行う中でそれがインプットに繋がることも多くあります。そこで、インプットが完璧にできていないからアウトプットをしないという考え方は避けて、積極的にアウトプットをする時間を確保することを意識付けるとよいでしょう。

(2) 短答式試験

それでは、司法試験の試験形式ごとの具体的な勉強法について見ていきましょう。

前述の通り、短答式試験では、憲法・民法・刑法の条文や判例の知識などが問われます。また、短答式試験の出題も司法試験や短答式試験過去問の焼き直しであるものも多く、過去問は重要な教材となります。したがって、短答式試験では過去問を何度も繰り返し解くことを意識しましょう。量は多いとはいえ、他の受験生も同じように勉強しているので、相対評価である司法試験においては周りより沈むと不合格の可能性が高まってしまいます。

過去問演習では1周目は時間がかかりますが、2周目以降は根拠をもって正解した問題・選択肢を抜かして問題演習をしましょう。この方法を用いることで苦手分野をどんどん潰し、効率的に演習することができます。

その他、条文の勉強では各法律の条文が掲載されている六法の条文を、前述した条文の要件と効果を意識しながら素読することもおすすめです。

(3) 論文式試験

① 答案の構造を抑えよう!

論文式試験では前述の通り一定の事例問題をもとに論述することになります。この点、論文答案はどのように書けばよいのか分からないひとも多いと思います。

事例式の論文答案の構造は主に、

①条文の要件→②要件に問題文の事実をあてはめる→③結論(効果の発生)

①問題提起→②規範定立→③あてはめ→④結論

となるパターンがあります。

前者はおよそ条文の要件に解釈の余地がない場合のパターンで、問題文の事例中の事実が条文の要件を満たすかを検討し、それを満たすならばその条文の効果が発生することとなります。その点で、インプットで要件と効果を意識することが論文答案を書く際に活きてくるというわけです。

後者のパターンはおよそ条文の要件に解釈の余地があるパターンでこの場合は判例の知識が求められます。この場合は、条文の要件が不明確な場合であり、そのままでは前者のパターンのようにあてはめる基準となる要件が不明確なので、その基準を明らかにする必要があります。このパターンでは、論点の問題の所在を示し(①)、条文の趣旨や様々な理由付けから一定の規範(解釈)を示し(②これが前者のパターンの要件に該当する)、問題文の事実を規範にあてはめ(③)、効果の発生・不発生を検討する(④)という流れになります。

基本的には以上のような流れで答案は構成されますが、この構造をきちんと抑えるには答案をたくさん書くことが大切となります。

② 基本事項が大切!

司法試験の問題は判例が問題文の場合にも適用されるかなどの難しい点を問うものもあります。しかし、司法試験は絶対評価ではなくあくまで相対評価で合否が決まる試験であり、他の受験生と比べて優位に立てばよいのです。

そのため、難しい論点で合否が決まることは少なく、それよりもインプットで学習してきた基本的な判例や条文を前述の論文答案の構造に則って表現できるかという基本事項の完成度が大切となります。日頃の学習においても難しい論点などばかりに重点を置くのではなく、基本事項を大切にしましょう。

③ 試験時間の使い方を練習!

アウトプットの段階では、実際に答案を書いてみると時間が足りないということに気づくと思います。司法試験本番で時間が足りないということを避けるために、予備校の答練(答案練習)司法試験の過去問を使って、本番の時間の使い方を確認しておきましょう。また、その際には自らがどれくらいの速度で答案用紙1枚分を書けるかなどを事前に測っておくと便利でしょう。

④ 添削を受けて自分のできていないところを確認!

論文式試験では短答式試験とは異なり自分の言葉で知識等を表現しなければならないため、表現の癖があったり、時間に迫られて答案を書くと答案の構造が崩れてしまったりすることが多々あります。このような点は自分では気づかない点も多く、司法試験合格者など第三者からの目から見て、修正すべき点について指摘を受けることが大切となります。司法試験予備校や合格者が論文答案の添削を行っているので積極的に利用しましょう。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
司法試験の過去問一覧!司法試験合格には過去問がカギを握る?

4 サマリー

いかがだったでしょうか。司法試験合格に必要な勉強量は非常に多いため、短時間で合格するためには効率的な勉強を意識することが不可欠となります。そのためにも今回の記事で取り上げた方法を試してみてくださいね。

5 まとめ

  • 司法試験は短答式と論文式の2段階の試験で、合格率は高くない
  • 勉強全般では教材は絞り、学習の目的を意識する
  • 法律の学習は主に条文と判例の2つを学ぶこと
  • インプットでは法律の全体像を早く掴む
  • アウトプットは過去問を大切に
  • 論文をたくさん書くことが不可欠

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