予備試験の難易度は非常に高いが法律学習未経験者でも合格できる!

予備試験の難易度は非常に高いが法律学習未経験者でも合格できる!

司法試験の受験資格を得るためには2つのルートがあります。一つは法科大学院を修了する事、そしてもう一つが司法試験予備試験に合格する事です。

法曹三者と呼ばれる弁護士・検察官・裁判官になるための最初の関門とも言える予備試験は、非常に難易度が高いことでも知られています。本記事では予備試験の内容と難易度について、詳しく解説していきますので是非ご参考になさってくださいね。

 

1 予備試験とは?

正式名称を司法試験予備試験と言います。「法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する試験」で、合格すると司法試験の受験資格が得られます。

現在の司法試験の受験資格を得るには、予備試験に合格する「予備試験ルート」か、法科大学院を卒業する「法科大学院ルート」のいずれかをたどる必要があります。

2 予備試験の概要

予備試験は年に1回実施され、受験回数に制限はありません。

短答式試験、論文式試験、口述式試験の3つが実施され、短答式試験の合格者だけが論文式試験に進み、論文式試験の合格者だけが口述式試験を受験できる仕組みとなっています。

(1) スケジュール

例年、短答式試験は5月中旬、論文式試験は7月中旬、口述式試験は10月下旬に実施されます。ただし、コロナウィルスの影響により日程が前後する可能性がありますので注意が必要です。法務省のホームページで随時ご確認される事をおすすめします。

予備試験_試験形式

       予備試験科目
短答

 

 

 

 

憲法
民法
刑法
商法
民事訴訟法
刑事訴訟法
行政法
一般教養
論文

 

 

 

 

 

 

 

憲法
民法
刑法
商法
民事訴訟法
刑事訴訟法
行政法
一般教養【人文科学・社会科学・自然科学・英語】※注1
法律実務基礎科目(民事・刑事)
口述 法律実務基礎科目(民事・刑事)

※(注1)2022年度の予備試験から論文の一般教養科目が廃止され、選択科目が導入されます。

 

(2) 予備試験合格者数と合格率

予備試験の合格者数は全体として増加傾向にあり、2015年度(平成27年)以降を見てみると近年は400人を超えています。2020年度(令和2年)は受験者11,780人のうち、最終合格者は476名で、合格率は4.04%でした。例年、合格率はおよそ4%前後を推移しており非常に難易度の高い試験となっています。

コロナウィルスの影響により、図らずも在宅時間の多い昨今となっています。通勤時間がない分勉強時間を確保する事ができてしまいます。

コロナ禍という厳しい状況ではありますが、時間的な利点を有効活用し勉強を始めてみてはいかがでしょうか?

“お家時間”を前向きに捉えて、ご自身の将来設計を考え直す良いきっかけとなるかもしれませんね。

予備試験合格を目指すには、今がチャンスであるとも言えそうですよね。

予備試験合格者の推移(〜2020年)

 

年度 受験者数 合格者数 合格率
2020 10608 442 4.20%
2019 11,780 476 4.00%
2018 11,136 433 3.90%
2017 10,743 444 4.10%
2016 10,442 405 3.90%
2015 10,334 394 3.80%
2014 10,347 356 3.40%
2013 9,224 351 3.80%

 

▼詳しくはこちらの記事がおすすめです。
予備試験の科目を徹底解説!科目の特色と対策方法を知ろう!

3 予備試験の難易度はどのくらい?

 

(1) 短答式試験

短答式試験は、マークシート方式(選択式)の試験です。法律7科目と言われる、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法に、一般教養を加えた合計8科目が問われます。また、六法の持ち込みは認められていません。

試験科目 得点 
民法/商法/民事訴訟法/憲法/行政法/刑法/刑事訴訟法 各30点
一般教養 60点
                          合計 270点

予備試験の試験形式について、多くの方が疑問を持たれる点についてもう少し深掘りしてみましょう!

疑問1|難易度はどのくらい?

合格率は毎年20%前後で、予備試験の最初の関門といえます。配点は、法律7科目が各30点、一般教養が60点の合計270点満点です。合格点は例年160~170点程度で、おおむね6割程度の得点で突破できる試験となっています。

疑問2|出題形式はどのようなものなの?

出題形式は正誤問題がほとんどです。選択肢すべての正誤がわからなければ正解できない問題と、一部の選択肢のみ分かれば正解を導き出せる問題があります。

正誤問題のほかには、括弧内に入る語句を選択させる問題や、学説から導かれる結論を答える論理問題も出題されます。

試験範囲は極めて広範です。各科目すべての範囲からまんべんなく出題されるため、短答式試験を突破するためには、試験範囲を抜け漏れなく学習することが必要となります。

 

疑問3|ズバリ、合格対策はどうしたら良いの?

 

◆短答式に合格するために1番大切なことは「過去問」

◆落ちる人は①勉強量②勉強の方向性を見直すべき

◆短答式を意識しつつ論文式の対策を

(2) 論文式試験

その名の通り、論述によって解答するのが論文式試験です。A4の白紙4枚分に解答を書く形式は、多くの人にとって圧倒的な分量を感じるものではないでしょうか。

論文式試験こそが予備試験最大の山場であるため、これを突破することに全力を尽くす必要があります。科目数は法律7科目に、実務基礎科目(民事・刑事)と一般教養も加えた合計10科目です。(2022年度から一般教養は廃止され「選択科目」が導入されます)

 

試験科目 得点 
憲法/民法/刑法/商法/民事訴訟法/刑事訴訟法/行政法/

実務基礎(民事 / 刑事)/一般教養(2022年からは「選択科目」が導入される)

各50点
                          合計 500点

疑問1|難易度はどのくらい?

合格率は短答式試験と同じ20%程度です。ただし、短答式試験を突破した人のうち20%に入る必要があることから、短答式試験よりも難易度は高いといえます。

繰り返しになりますが、予備試験合格の最大のポイントは、この論文式試験突破にあるのです。

 

疑問2|出題形式はどのようなものなの?

論文式試験では、事件について具体的に書かれた事例を読んだ上で設問に答える問題が出題されます。事例の内容は、A4用紙1枚~数枚分にわたります。出題される範囲は、短答式試験に比べると限定されていると言えるでしょう。同じ論点が繰り返し出題されることもあります。

 

疑問3|ズバリ、合格対策はどうしたら良いの?

◆「すべきこと」は4つ。「重要条文の徹底理解」「出る論点、出ない論点の把握」「大量の答案構成」「誰もが知っている基知識の完全な理解と記憶」

◆「してはいけないこと」も4つ。「論文過去問の軽視」「学習ツールを広げる」「ルーズな時間の使い方」「睡眠不足」

◆法律を学ぶことは法的思考力を身につけることと同義。予備試験でも法的思考力の有無が問われる

 

(3) 口述式試験

試験官2名の前で口頭で問題を出され、これに答えていくのが口述式試験です。これに合格すると、予備試験の最終合格となります。

試験科目は、民事実務と刑事実務の2つです。論文式試験と同様、民事実務は民法と民事訴訟法が、刑事実務は刑法と刑事訴訟法が土台となっています。

疑問1|難易度はどのくらい?

合格率は9割を超えています。とはいえ、論文式試験の合格者のみに課される試験のため、レベルは非常に高く、油断は禁物です。

論文式試験の合格発表から口述式試験実施までの2週間で、しっかりと対策をしておく必要があります。

 

疑問2|出題形式はどのようなものなの?

口述式試験は、主査・副査の2人と問答を行う形で進められていきます。主査からの質問が多く、副査は補助的な質問を行う場合が多いようです。

民事実務基礎科目と刑事実務基礎科目の2科目が、2日に分けて出題されます。民事実務基礎科目では、要件事実や民事保全・執行に関する問題等が、刑事実務基礎科目では、犯人性や刑事訴訟の手続に関する問題等が出題されます。

疑問3|ズバリ、合格対策はどうしたら良いの?

◆論文試験の知識を口頭で説明する独特な試験

◆実体法とともに実務の細かな知識が問われる

◆コミュニケーション力や弁論能力も重要

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
「予備試験口述は合格率90%? 絶対落とさないための鉄則とは!

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4 予備試験受験者の特徴

予備試験の実受験者数は例年11,000人程度で推移しています。2020年(令和2年)は10,608人でした。年齢別に見ると、20~24歳が最も多く、20代はもちろんの事それに続くボリュームゾーンとして30〜50代である事が見て取れます。

これは、現役大学生・法科大学院生だけではなく、働きながら受験する社会人が多いことを表しています。

さらに詳しく見てみると、大学在学中および法科大学院在学中の合計約4200人に対して、それ以外のいわゆる社会人(社会人経験者含む)は約6400人であることから、学生よりも社会人や社会人経験者が多く受験している試験と言えるでしょう。

「忙しくてすぐには始められない・・・」

「社会人受験生でも本当に合格できるの?」

 

などと思われてる方も多いかと思いますが、同じような志を持つ社会人受験生や社会人合格者が多い現状を把握する事で安心して勉強を始める事ができますよね。

加えて、難関試験なので合格するためには相当な努力は必要ですが、実際に社会人合格されている方が何人もいることを知る事で、合格可能な射程範囲である事をお分かりいただけるのではないでしょうか。

参考:法務省ホームページ

5 難易度の高い予備試験に合格するメリットとは?

予備試験に合格するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

難易度の高い試験にチャレンジするのですから、ハイリスクハイリターンを望まれるのは自然な感情ですよね。

しっかりと確認しておきましょう。

 

 (1) 予備試験は時間的・経済的に有利

現実問題、予備試験の合格率は例年4%ほどなのですから、予備試験の最終合格率を初めて見た人は、「こんなに難易度が高いのなら、法科大学院にいった方が良いのかも?」と思ってしまいそうですよね。

しかし、法科大学院に行くとなると、法学部卒なら2年、それ以外の学科卒なら3年はかかります。大学から進むのであれば、親の支援にも頼ることもできれば、奨学金を利用してアルバイトをしながら苦学生という選択肢があるでしょう。


もちろん、社会人も同じように苦学生として頑張る事もできますが、社会人の場合は、一旦仕事を辞めて2年、あるいは3年も法科大学院に通う事となり「もしも司法試験に合格できなかったら?」という不安はかなりの負担となります。

 

その理由は、法科大学院の平均司法試験合格率はおよそ20%台と決して高い合格率ではないからです。

 

令和2年度の法務省のデータを見ると受験者数・合格者数ともに少ない一橋大学の合格率は67.7%を超えています。京大法科大学院、東大法科大学院だけが50%越えなのです。このように合格率の高い法科大学院に進むには、日本でも5本の指に入るような偏差値の高い難関大学の法科大学院に入学しなければなりません。

いくら社会人入試でも、合格率の高い法科大学院に入学するためには、大前提としてそれなりの学力が必要です。司法試験合格人数トップ10に入る法科大学院に社会人入学するという事は、そう簡単なことではありません。

また、経済的な負担のことも忘れてはなりません。国立の法科大学院でも1年間でおよそ100万円ほどかかるので、2年なら200万円、3年なら300万円となります。私立ならもっとということになります。私大法科大学院の中には、1年間の授業料が200万円という法科大学院もあります。

 

(2) 弁護士志望なら予備試験が就職面でおすすめ

「予備試験合格はプラチナチケット!」

などと言われる事もあるほど就職面では有利であるという事をご存知でしょうか?

法科大学院から司法試験に合格した人よりも、予備試験から司法試験に合格した人の方が、司法試験に合格した後の就職率が高いという事が現状です。

 

確かに、長い目で見るとゆっくりと時間をかけて法曹人のための養成校である法科大学院で学ぶというこも経験としては大切な事と言えますし魅力的ですよね。

知識を詰め込むだけではなく、法曹人の倫理や思考等を体験しながら身体に叩き込むことのできる法科大学院の履修科目を全て修了することは、法曹倫理と法曹界の思考を体感する上で大切かもしれません。しかし、現行の司法試験に合格して司法修習を終えた新法曹資格取得者の場合、検事や裁判官といった国家公務員になれれば問題ないのですが、弁護士資格の場合は、就職先が足りずに弁護士ニートになってしまう人が一定数いるのが実情です。

一方、予備試験合格者の法曹資格取得者の場合は、大手弁護士事務所の採用担当は、予備試験合格者にスカウトにきたり、予備試験合格者のみの採用枠を設けていたりするのです。この差はいったいなぜなのでしょうか?

政府が理想とする法科大学院の履修科目を優秀な成績で修了できた者としての、知識・見識が試される選別試験が「予備試験」なのですから、司法試験にほぼ合格できる実力を備えた人を選別できる試験であるとも言えます。したがって、司法試験に合格できる可能性も高いのです。さらに、裁判官・検事についても、司法試験の成績が目安とされます。

また、司法修習生の卒業試験である二回試験の成績が優秀な成績順に希望の進路に合格しやすいとも言われています。つまり、司法試験に優秀な成績で合格できる予備試験合格者の方が、二回試験の成績が優秀となる可能性が高いので、必然的に裁判官や検事に採用されやすいと言えるのです。それだけでなく、優秀な成績で合格できる可能性が高いので、その結果、司法修習の卒業試験でもある二回試験に優秀な成績で合格しやすいからです。

つまり、予備試験合格者は、法曹資格取得後の就職が保証されていると言っても過言ではないかもしれません。

このように、就職面で断然有利であるということは、長い目で先を見るより切実な問題ともいえます。さらには、予備試験合格者として司法試験に合格すれば、法科大学院よりも2~3年早く就職することができます。

(3) 予備試験の勉強はさまざまな道への扉になる

予備試験の勉強は、法科大学院入学の勉強を兼ねることができます。そのため、予備試験に万が一不合格となっても法科大学院を“滑り止め”として一緒に受験しておく事により一定の担保を図る事ができます。また、国家一種試験の勉強とも重なり相性が良い点もメリットとして挙げられます。

例え予備試験に不合格となってしまっても、複数の選択肢への門戸を開くことになり、人生の開拓に有利となる事がお分かりいただけるのではないでしょうか。

6 難易度の高い予備試験合格を目指すには

 

◆基本書のインプット

◆論文のアウトプット

◆過去問題集のアウトプット

◆重要判例、条文の確認

◆模試、答練  など

これらが基本的な勉強方法となります。ひたすら反復学習をする事が欠かせません。

法律初学者であれば、合格までに無理なく2~3年かかる計画を立てるのがおすすめです。

予備試験後、司法試験まで半年ほどですから、余裕のある方は司法試験の過去問も行う事をおすすめします。

政府の方針では、法科大学院は法曹人養成校であり、法科大学院終了後には司法試験に合格できる実力が身についていることを目標としています。そのため、高卒認定試験の法科大学院版ともいえる予備試験は、政府の方針通り高い確率で司法試験に合格できる実力を備える事が可能とされています。

実際に予備試験合格者の司法試験合格率は令和2年度の法務省の発表によれば、およそ90%と驚くべき合格率を叩き出しています。

予備試験の試験科目は、司法試験の試験科目と重複している科目がほとんどです。

この点が、予備試験合格者の司法試験合格率の高さの源泉となっているとも言えるのではないでしょうか。

予備試験 司法試験
憲法
行政法
民法
商法
民事訴訟法
刑法
刑事訴訟法
選択科目 ※注2
法律実務基礎科目 ×
一般教養 ×

※(注2)2022年度から論文試験においては、一般教養が廃止され「選択科目」が導入されます。

先に、勉強方法について示しましたが、これらの科目を全て独学でこなしていく事はあまりおすすめできません。独学での合格が絶対に不可能とは言えませんが、法改正や試験に合格するための傾向と対策、勉強スケジュール、教材の選定などを全て1人で行う事は、残念ながらあまり効率が良い事とは言えません。

短期合格を目指すのであれば『予備校』の利用は不可欠です。

社会人にとっては、時間のやりくりが最も懸念事項だと思います。その点を解決してくれるのが、近年主流となりつつある『オンライン型の予備校』の活用です。

スマホ一つで受講でき、過去問や論証集などを網羅しているので、いつでもどこでも勉強する事ができますよね。

社会人受験生の多くは、毎日の通勤時間やお昼休憩などのスキマ時間を無駄にする事なく合格を果たしています。

新しい生活スタイルの一環として、自宅やカフェなど自分の好きな場所で“集中して”オンライン講義を受けてみてはいかがでしょうか。

7 予備試験に合格したら

予備試験を突破すると翌年5月の司法試験を受験することができます!

予備試験の合格発表は例年11月なので、わずか半年の間に司法試験の準備をしなければなりません。

しかしながら、司法試験の短答式試験は3科目のみ、論文式試験の科目は予備試験と大幅に重なっているため、新たに勉強する分野はほとんどありません。適切な対策で、翌年の司法試験合格を目指しましょう!

8 サマリー

法科大学院に通うよりも予備試験合格者の方が、経済的にも時間的にも負担が軽くなるだけではなく就職にも有利なプラチナチケットです。また、予備試験合格対策は法科大学院への滑り止めや国家試験一種合格への期待可能性も高まります。

社会人受験生(合格者)も多く輩出している予備試験にチャレンジする価値は十二分にあると言えますよね。予備校の活用が“合格への最短ルート”である事は間違いありませんので検討されてみてはいかがでしょうか。

 

9 まとめ

  • 予備試験は司法試験の受験資格を得るための試験であり、法科大学院を修了するより時間的・経済的な負担が少なく社会人も多く受験している
  • 短答式・論文式・口述式試験を実施し、短答式から順に合格者のみが次へ進める
  • 合格率は例年約4%ほどであり高難易度の狭き門
  • 予備試験に最短ルートで合格するためには予備校の活用がおすすめ
  • 合格すると、半年後の司法試験を受験する事ができる

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