予備試験の口述試験に不合格になってしまう原因は?万が一落ちた場合の対処法もご紹介

予備試験の口述試験に不合格になってしまう原因は?万が一落ちた場合の対処法もご紹介

予備試験の口述試験までくれば、最終合格まであと少しですね。

ところが、あと少しということで『万が一、不合格になったらどうしよう?』と不安に思う受験生もたくさんいることでしょう。

 

本記事では、予備試験の口述試験で不合格になる原因やその対処法、そして、万が一口述試験で不合格になった場合の対処法を解説しています。

 1 予備試験の口述試験の合格率は?

以下の表は直近5年間の予備試験の口述試験の合格率を示したものです。

 

口述試験の合格率 受験者数 合格者数 合格率
令和3年 476人 467人 98.11%
令和2年 462人 442人 95.67%
平成31年 494人 476人 96.36%
平成30年 456人 433人 94.96%
平成29年 469人 444人 94.67%

 

(参照:法務省『司法試験予備試験の結果について

 

 

口述試験の合格率は直近5年では95%前後と非常に高いのが特徴です。

 

この理由は、口述試験の受験生が全員その年の論文式試験を突破してきた優秀な人たちであることにあります。

 

一方で、高い合格率の影に隠れがちですが、毎年20人前後が不合格になってしまっているのも事実です。

 

最難関である論文式試験を突破してきた人たちが不合格になってしまうのはなぜでしょうか?

以下解説していきます。

 

2 口述試験で不合格になってしまう原因は?

(1) 勉強不足

 

まず、口述試験で不合格になってしまう原因として勉強不足が挙げられます。

『論文式試験を突破した人が勉強不足なんてあり得るの?』と疑問に思われるかもしれません。

ところが、口述試験は以下の3つの特徴から勉強不足に陥りやすいのです。

 

原因①:口述試験で頻出の分野が論文式試験と異なる。

原因②:論文式試験から口述試験まで例年3カ月程もある。

原因③:論文式試験の合格発表から口述試験まで例年2週間程しかない。

① 口述試験で頻出の分野が論文式試験と異なる。

口述試験の試験科目は法律実務基礎科目の民事と刑事の2科目です。

この民事と刑事で問われる分野が論文式試験で頻出の分野とは異なることから、勉強不足になりやすいです。

 

民事では、要件事実、民事執行法・民事保全法、弁護士倫理、事実認定などの知識を問う質問がなされます。論文式試験の法律実務基礎科目の民事でも同分野からの出題がなされますが、多くの受験生は法律7科目に比べて、法律実務基礎科目の勉強は疎かになりがちなので、法律実務基礎科目の民事の知識をメインで問われる口述試験は改めて対策が必要になります。

また、論文式試験の法律実務基礎科目をしっかり勉強したという人も油断大敵です。

なぜなら、論文式試験では予備試験用法文をいつでも参照することができますが、口述試験では、予備試験用法文を見る際は試験官の許可が必要だからです。

そのため、基本的な条文について、予備試験用法文を見ることなく回答出来るように訓練する必要があります。

 

刑事では、刑法・刑事訴訟法の知識全般が問われます。

注意すべきなのは、論文式試験ではあまり問われないが短答式試験では良く問題になる知識(いわゆる短答プロパーの知識)が問われることです。

口述試験の受験日は短答式試験の受験日から5カ月以上も経過していますから、短答プロパーの知識が抜け落ちている可能性があります。

口述試験の前に改めて復習する必要があります。

 

論文式試験から口述試験まで3カ月もある。

論文式試験から、口述試験まで3カ月以上も空いているため、この間法律の勉強を全くしないとせっかくの知識が抜け落ちてしまいます。

特に、論文式試験にむけて必死に勉強していた人ほど、論文式試験が終了した開放感から勉強に手が付かなくなってしまうことがあるため注意が必要です。

 

論文式試験の合格発表から口述試験まで2週間しかない。

論文式試験の合格発表から口述試験の受験日までわずか2週間しかない点も勉強不足に陥りがちな原因の一つです。

 

論文式試験の手応えがなく、論文式試験の合格発表まで全く勉強しなかった。

ところが、合格発表日に合否を確認してみると実は合格していた。

慌てて、口述試験の対策を始めたが、3カ月の間に知識はすっかり抜け落ちてしまっていて、2週間では到底準備の時間が足りない!

 

こんな事態に陥る危険性があります。

 

ちなみに、筆者は論文式試験を受けた後、『ああ、これは落ちたな…。』と考えていました。そのため、論文式試験の合格発表まで口述試験の対策は一切せず、ずっと来年の予備試験の論文式試験の対策をしていました。

ところが、論文式試験の合格発表日に実は合格していたことが判明します。

そこから、慌てて口述試験の対策をすることになりました。

 

勉強不足にならないための対策

どんなに論文式試験の結果に自信がなくても、口述試験の受験日の1カ月前からは口述試験の対策を始めましょう。

もし、残念ながら論文式試験に不合格だった場合でも、口述試験の対策として勉強した内容は翌年の予備試験受験で必ず役に立ちます。

一番もったいないのは、せっかく論文式試験で合格していたのに、自分を信じることが出来なかったばっかりに口述試験で不合格になってしまうことです。

 

(2) 練習不足(入室の仕方などの形式面でつまづく)

 

口述試験を受験をする前に、口述試験の本番を想定した練習をしていないことも不合格になってしまう原因です。

 

口述試験では試験官と対峙して口頭で出題される法律問題について考え、口頭で回答するという独特の試験です。

 

また、入退室のマナーや、話し方のマナー回答の仕方まず、結論を端的に回答する、など)なども試験官に見られています。

 

このような形式面でミスをしてしまうと、試験官からの印象が悪くなり採点上非常に不利になってしまいます。

また、ミスしたことで平常心を保てなくなり、いつもなら簡単に答えられるような問題に答えられなくなってしまうこともあります。

法律の知識はしっかりあるのにこのような点で減点されてしまうのは非常にもったいないですね。

 

口述試験を受ける前に必ず家族や友人と本番を想定した練習をすることが大切です。

また、多くの司法試験予備校では口述試験前本番を想定した模試を開催しています。

これらの模試では、形式面でのアドバイスもしてくれるので積極的に活用しましょう。

(3) 緊張によるど忘れ

口述試験で一番恐ろしいのは緊張してしまって頭が真っ白になってしまうことです。

普段緊張しない人でも、実際に狭い部屋で試験官二人と対峙して質問されれば緊張してしまい言葉が上手く出てこないということはザラにあります。

 

緊張によるど忘れを防止する一番の対策方法は本番を想定した練習を積むことです。

口述試験の対策として、つい知識面の確認に時間を掛けたくなりますが、緊張を防止するために実際に口頭でなされた出題に口頭で回答する練習にも時間を掛けましょう。

 

予備校の開催する口述試験の模試は出来るだけ複数受験して、口述試験の形式に慣れるようにしたいですね。

 

しかし、どれだけ対策しても、緊張によるど忘れが発生する可能性をゼロにすることは不可能です。

なにせ人生がかかっていますから。緊張して当たり前です。

緊張によるど忘れが発生してしまった場合、最終手段があります。

それは、試験官に『申し訳ありません。緊張で頭が真っ白になってしまいました。』と素直に申告することです。

このように素直に申告することで、試験官が助け舟を出してくれることがあります。

 

最も避けるべきなのは、何も言わず時間を空費することです。

受験生が何の反応も示さないと試験官は助け舟を出すことも、次の問題にいくことも出来ません。

受験生一人に試験官が費やすことのできる時間には限界があります。

そのため、無意味に回答に時間をかけると試験官が用意していた全ての質問をしてもらうことができず、非常に不利な立場になってしまいます。

 

試験官は受験生が緊張することは百も承知です。

頭が真っ白になってどうしようもないときは悪あがきをすることなく、素直に申告しましょう。

 

(4) 試験官とのコミュニケーションが取れない。

口述試験で不合格になってしまう原因として、試験官と上手くコミュニケーションが取れないことが考えられます。

例えば、以下のような態度で試験官に対峙するのは非常に危険です。

 

①試験官が聞いていないことを語る。

②試験官が出した助け舟や誘導を無視する。

③自説を曲げず、試験官を論破しようとする。

④試験官の話を最後まで聞かない。

 

試験官が聞いていないことを語る。』と時間不足になる危険があります。

また、印象もあまり良くありません。

試験官の質問に対して結論だけを端的に答えましょう。

その結論の理由は試験官に改めて質問された場合に答えればOKです。

 

以下、試験官の質問に対する良い例と悪い例です。

 

試験官:『この行為は適法ですか?』

良い例:『はい、適法です。』/『いいえ、違法です。』

 

悪い例:『その行為は〇〇であり、判例は〇〇と解釈していますが……(中略)

     以上より、その行為は適法だと私は考えます。』

 (5) 服装、見た目(TPOに合わない格好)

人と対面するのに相応しくない格好で口述試験に臨むのは非常に印象が悪く、口述試験に不合格となる原因になります。

 

服装について特に指定はありませんが、男女を問わず清潔なスーツと靴を着用していくことが無難でしょう。

 

また、頭髪や爪、髭についても社会生活を営む上で支障がない程度に処理をしておく必要があります。

 

予備試験は法曹の選抜試験の一つです。

試験官に『この人に法曹資格を与えても大丈夫かな?』といった疑惑をもたれないようにTPOをわきまえましょう。

 

3『口述試験で不合格になるかも……』と不安なのはあなただけじゃない。

予備試験の口述試験は合格率の高い試験ですが、『不合格になってしまうのではないか……。』という不安に陥りやすい試験です。

 

今までの筆記試験と違って慣れない口頭での試験であることも理由の一つです。

 

合格率が非常に低い試験なら『ダメで元々!』という前向きな気持ちで受けることも出来ます。

ところが、合格率が高い試験だと『万が一落ちたらどうしよう』『周りの人に変な目で見られるんじゃないかな』などと後ろ向きになりがちです。

 

また、口述試験に不合格になってしまって翌年また短答式試験から受け直すことを考えると、鬱々とした気分にもなってしまいますよね。

 

さらに、論文式試験の合格発表から口述試験の本番までの一番重要な2週間に運悪く仕事や、外せない予定が入ることもあるでしょう。この場合も心の平穏を保つのに苦労します。

 

このような不安と上手く向き合うことが口述試験の不合格を回避する上で重要です。

(1) 不安の無限ループが一番怖い。

口述試験はどうしても不安になってしまう試験です。

不安の気持ちに囚われると、勉強に集中出来なくなることがあります。

勉強に集中出来なくなると、さらに不安が大きくなるという悪循環に陥ります。

そして、結果的に本番において、勉強不足で満足な解答が出来なくなったり、緊張してど忘れをしてしまい実力を十分発揮出来なくなってしまいます。

(2) 不安は消さなくてもいい。不安を抱えたまま戦おう。

口述試験を不安に思うことはしょうがないことです。

不安を完全に消すことは難しいでしょう。

また、不安を無理やり抑え込もうと頑張りすぎてかえって不安が増大することもあるでしょう。

 

だから、不安を無理に消そうと思わないことが重要です。

不安のせいで、勉強に集中できないことはしょうがないことです。

不安のせいで、いつもの50%の量しか勉強ができないとしても、決して落ち込まないでください。

むしろ、不安と戦いながらも50%の量の勉強を維持出来た自分を褒めてあげましょう。

 

一番回避すべきなのは不安に負けて、

もう、自分なんてダメだ。

今年の合格は諦めよう。

と捨て鉢になってしまうことです。

 

どんなに時間がなくても、不安でしょうがなくても、たとえ直前に仕事が入っても諦めてはいけません。

少なくとも、あなたには論文式試験を突破する実力があるのです。

そのことに自信を持って残りの時間を使いましょう。

 

4 もしも、口述試験で不合格になってしまったら?

以下では万が一口述試験で不合格になってしまった場合の対策を解説していきます。

(1) 過度に落ち込みすぎない。

口述試験の不合格が判明した瞬間、どうしても落ち込んでしまいます。

 

口述試験にたどり着くまで、きっと血の滲むような努力をしたことでしょう。

一度は合格目前まで迫りながらあと一歩及ばなかった悔しさや喪失感は予備試験の口述試験を受けた人にしかわからないものでしょう。

落ち込むな、と言うのは無理な話です。

 

ただ、どんなに落ち込んでも、自分の今までの努力を否定することだけはしないでください。

合格率95%の口述試験に落ちた自分は法曹に向いてないんだ。

自分には予備試験突破なんてやっぱり無理なんだ。

論文式試験を突破出来たのはまぐれだ。

なんて、思わないでください。

 

そもそも、あなたが難関である予備試験の論文式試験を突破できた事実は絶対に揺るぎません。

論文式試験はまぐれで突破できるほど甘い試験ではありません。

 

全てあなたの努力があったからこそ為せることです。

そのことだけは絶対に否定しないでください。

 

(2) 敗因を分析する。

翌年の予備試験にリベンジする場合、必ず、自分がなぜ口述試験に落ちてしまったのかを分析しましょう。

 

敗因を分析する際に是非確認して欲しいのが、民事の要件事実の分野についてしっかり解答できていたかという点です。

請求の趣旨や請求原因事実の知識は民事の口述試験の最初に質問される内容であり、ここで根本的な間違いを犯していたために点数が全く入らなかった可能性があります。

 

敗因の分析ができたら、翌年の試験でどうしたら同じミスを回避することができるか対策を練りましょう。

(3)気持ちを切り替えて短答式試験からリベンジ!(前年合格してたからと言って必ず突破できる訳でない。)

 

予備試験の口述試験で不合格になった場合、翌年の短答試験からやり直しになります。

 

昨年、突破出来たから今年は余裕だろう!』と慢心してはいけません。

 

前回の短答式試験や論文式試験から1年経てば、知識の抜けもあるでしょう。

前回の試験と同様に気を引き締めて臨みましょう。

5 サマリー

いかがだったでしょうか?

予備試験の口述試験の合格率は近年95%前後と非常に高いですが、毎年20名前後の不合格者が発生しているのも事実です。

口述試験で確実に合格するために、少なくとも口述試験の本番の1カ月前には口述試験の対策を始めたいですね。

また、口述試験の独特の形式に慣れるためにも模試を上手く活用すると良いでしょう。

予備試験の口述試験はどうしても不安になってしまう試験ですが、『不安になるのもしょうがない!』と割り切るのも大切です。

口述試験まで到達することのできた自分を信じて最後まで頑張りましょう!

 

6 まとめ

  • 口述試験の合格率は例年95%前後。毎年不合格者が20人前後いる。
  • 勉強不足を防止するために、口述試験の1ヶ月前から準備を始めよう。
  • 口述試験の形式に慣れるため、予備校の模試を積極的に利用しよう。
  • 緊張で頭が真っ白になったら、素直に試験官に申告しよう。
  • 口述試験に落ちても、あなたの努力が全て無駄だったわけではない。翌年の試験で再チャレンジしよう。

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