予備試験の選択科目はどうやって決める?基準・指針の優先順位を徹底解説

予備試験の選択科目はどうやって決める?基準・指針の優先順位を徹底解説

2022年の予備試験から、論文試験において選択科目が導入されます。受験生にとっては大きな負担であると同時に「未知の科目である一般教養よりは良い!」と思われる方も少なくないのではないでしょうか?

選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目から1科目を選択することとなります。
(令和3年6月2日 司法試験委員会決定 司法試験予備試験の実施方針についてより)

いったいどのようにして選択科目を選べば良いのでしょうか?

この記事では、その指針や基準を詳しく解説して参りますので是非ご参考になさってくださいね。

 

1 予備試験の選択科目とは?

予備試験の『選択科目』とは、2022年から導入される科目です。

2021年までは、一般教養科目が課されており、対策が立てづらい程に広範囲から出題されていました。故に、他の受験生とあまり差がつきづらく良くも悪くも対策不要の傾向が否めませんでした。

しかしながら、2022年度から導入される選択科目に関しては今までとおりとはいかず、何も対策を立てずに受験すれば他の受験生と大きな差が生じてしまうことは、火を見るより明らかです。

なぜなら、予備試験制度は「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)試験とされており、その法科大学院課程の修了要件は、8科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法)国際関係法(私法)のうち4科目以上の修得とされているからです。

これまでとは違い、確かに受験生にとって負担は増しますが、早めの対策を講じておくことが合格への第一歩となります。また、予備試験合格後から司法試験対策に向けて選択科目を一から学ぶよりも、今からある程度の余裕をもって準備しておくことができますので、司法試験対策としても功を奏するのではないでしょうか。“司法試験合格”という最終目標を果たすためにも、しっかりと情報収集をし選択科目の試験対策を行っていきましょう。

 

2 予備試験の選択科目の概要|8つの選択肢がある

       予備試験科目 
短答

 

 

 

 

憲法
民法
刑法
商法
民事訴訟法
刑事訴訟法
行政法
一般教養
論文

 

 

 

 

 

 

 

憲法
民法
刑法
商法
民事訴訟法
刑事訴訟法
行政法
一般教養【人文科学・社会科学・自然科学・英語】

※2022年度から一般教養科目が廃止され選択科目へ移行します

法律実務基礎科目(民事・刑事)
口述 法律実務基礎科目(民事・刑事)

上記の表より赤字で示した部分をご覧ください。

 

・倒産法

・租税法

・経済法

・知的財産法

・労働法

・環境法

・国際関係法(公法)

・国際関係法(私法)

受験生としては、今までよりも1科目分の論文試験対策が必要となるわけですから、負担が大きくなります。また、受験経験のある方にとっては、新たに選択科目対策講座の受講についても検討する必要があり悩みの種となるのではないでしょうか?

次に、選択科目を選ぶ指針と基準について見ていきましょう。

3 予備試験の選択科目を選ぶ5つの指針・基準

◆結論:優先順位◆

①そもそも興味が持てるか

②勉強量の多さ

③基本書、参考書等の教材の充実度

④シェア率の高さ

⑤将来におけるニーズがあるか否か

さまざまな意見があるかとは思いますが、敢えて優先順位をつけるとすれば、このような番号順となるかと思われますので、ご参考になさってくださいね。

 

つまり、まずは全く興味のもてない選択科目は最初に除外し、その残りの選択科目の中から、勉強量、教材の充実さ、シェア率、将来におけるニーズをそれぞれ考慮し、最終的に1つに絞り込んでみてはいかがでしょうか。

もっとも、選択科目の選び方に絶対の正解はないですし、選定基準も上記の5つ以外に全くないわけではありません。

これらについて、もう少し深掘りして見ていきましょう。

(1) そもそも興味が持てるか

当然のことですが、興味がまったく持てない分野の勉強は、ただただ辛く長続きしませんよね。

少なくとも、まったく興味がもてない分野の選択科目は選ばないようにしましょう。

ただし、勉強の中身がイメージとは異なる場合もあり、最初から「これはつまらなそう」などと決めつけずに、それぞれ選択科目では、どのようなことを学ぶのかを自分なりに様々な角度から色々調べてみることをおすすめします。

周りに司法試験受験経験がある方などがいらっしゃれば、経験談などを聞いてみるのも良いですよね。

 

(2) 勉強量の多さ

これは、非常に重要な観点です。特に、予備試験ルートで司法試験受験を目指す方は、社会人受験生の方も多く、選択科目の勉強に割く時間を法科大学院ルートの司法試験受験生よりも取ることができません。

したがって、なるべく勉強量が少なくても“合格レベル”に辿りつく事のできる科目がおすすめです。

一般的には、経済法、国際関係法(私法)は、他の選択科目と比較すると、相対的に勉強量が少なくて済むとされています。

 

(3) 基本書、参考書等の教材の充実度

選択科目は、受験生にとって初めて学ぶ科目となり、その教材の充実度も重要な判断要素となります。ここは、次にご紹介する(4)のシェア率ともかなりリンクしてきます。一般的には、労働法、倒産法、知的財産法は他の選択科目と比較すると、相対的に教材は充実しているとされています。

 

(4) シェア率の高さ

                  シェア率                   
令和2年 令和元年 平成30年 平成29年 平成28年
倒産法 452人(12.3%) 608人(13.7%) 758人(14.6%) 906人(15.3%) 1190人(17.4%)
租税法 288人(7.9%) 329人(7.4%) 358人(6.9%) 412人(6.9%) 455人(6.6%)
経済法 683人(18.6%) 789人(17.8%) 848人(16.3%) 867人(14.6%) 865人(12.6%)
知的財産法 525人(14.3%) 597人(13.5%) 714人(13.7%) 803人(13.5%) 988人(14.4%)
労働法 1,104人(30.1%) 1,299人(29.3%) 1,481人(28.5%) 1,738人(29.3%) 1,932人(28.2%)
環境法 161人(4.4%) 256人(5.8%) 305人(5.9%) 353人(6.0%) 448人(6.5%)
国際関係法(公法系) 48人(1.3%) 59人(1.3%) 64人(1.2%) 81人(1.4%) 109人(1.6%)
国際関係法(私法系) 403人(11.0%) 492人(11.1%) 672人(12.9%) 769人(13.0%) 859人(12.5%)
合計 3,664人 4,492人 5,200人 5929人 6846人

参照:法務省「司法試験の結果について」

 

過去5年間のデータを見てみましょう。例年、労働法が圧倒的に多いことが分かりますね。

これは、あくまで司法試験の選択科目のデータでしかありませんが、受験生の多数がどの科目を選択しているかも重要です。

なぜなら、シェア率が高い科目ほど、情報交換が容易であり、かつ点数が安定しやすい傾向にあるからです。

なお、前述したように、シェア率が高い科目は、教材も充実していることが多いです。

データ上は、労働法、経済法、知的財産法、倒産法、国際関係法(私法)はシェア率が高いといえます。

(5) 将来におけるニーズ

将来におけるニーズについては、みなさんそれぞれが将来どのような法曹を目指されているかによって、変わってきます。

一般に労働法、倒産法、知財法、租税法は他の選択科目と比較すると、相対的に将来におけるニーズは大きいとされております。
労働法、倒産法は一般民事、企業法務問わず実務では使われます。

また、知財法、租税法は企業法務において多く使われる傾向にあります。

もちろん、上記以外の科目も将来におけるニーズがないというわけではありません。

国際私法は、渉外系の事務所では必須ですし、一般民事でも外国人案件(特に外国人の家事事件)を扱う際には
やはり理解が必要となります。
経済法は、独禁法を扱う事務所では必須ですし、検事志望者にとっても有用です。

ご自身が目指す将来像に応じて、選択科目を検討することをおススメします。

4 サマリー

予備試験の論文式試験から一般教養科目が廃止され、2022年度からは『選択科目』が導入されることとなりました。

科目は8科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系))のうちから1科目を選択することとなります。
どの科目を選択するかは①興味が持てるか②勉強量の多さ③基本書、参考書等の教材の充実度④シェア率の高さ⑤将来におけるニーズなどを基準・指針としてみてはいかがでしょうか。

5 まとめ

  • 予備試験の『選択科目』とは、2022年から導入される科目であり、合格対策は必須
  • 予備試験の選択科目は8科目のうち1科目を選択する(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系))
  • 選択科目の決定基準・指針は①興味が持てるか②勉強量の多さ③基本書、参考書等の教材の充実度④シェア率の高さ⑤将来におけるニーズなどを参考にするのがおすすめ

 

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