予備試験『刑法』で合格レベルを取る勉強法とは?短答から論文まで徹底解説!

予備試験『刑法』で合格レベルを取る勉強法とは?短答から論文まで徹底解説!

予備試験の刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)は、比較的高得点が出やすい科目です。

とは言え、初学者にとっては初めての事ですから慣れない法律用語(・・しかもドイツ語)

や言い回しになかなかインプットが終わないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

結論からいえば、インプットに時間をかけすぎずにアウトプット学習に着手する事をおすすめします。

それはいったいなぜなのでしょうか?

この記事では、その理由と合わせて『予備試験・刑法』の合格レベルを目指す勉強法についいて解説していきます。

是非、ご参考になさってくださいね。

 

1 予備試験科目の『刑法』とは?

刑法とは、『犯罪』『刑罰』に関する法律です。刑法と聞くと少し物々しい印象を受けますが、私たちが安心安全に暮らしていくためには不可欠な法律とも言えます。

“どのような行為を行うと犯罪となり、どのような刑罰が科せられるのか”を定めた法律です。

 

それでは、条文がどのように構成されているのかを確認しておきましょう。

 

【刑法】

全264条

・第1編 「総則」 第1条〜第72条(個別の犯罪全てに共通するものが定められている)

・第2編 「罪」  第73条〜第264条(個別の犯罪について構成要件が規定されている)

 

上記のような構成となっており、条文数自体も1000条以上に及ぶ民法と比べるとはるかに少ないですよね。

総則は、いわゆる総論の事であり、罪は各論です。それぞれどのような違いがあるのかを抑えておきましょう。

 

ex.総論〈刑法6条 刑の変更〉

「犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる」

個別の犯罪全てに共通するものとなっている事が分かりますよね。

 

ex.各論〈刑法199条 殺人〉

「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」

前段と呼ばれる前半部分では犯罪(殺人罪)についての構成要件を定めている事がお分かりいただけるのではないでしょうか。一方で、後段と呼ばれる後半部分では刑罰(死刑・無期・5年以上の懲役)を定めている事が分かります。

 

また、日常生活の中でニュースを見聞きする機会に溢れている事から、私たちにとって刑法は身近な法律です。

「口論が発展し、家族を殴り大怪我をさせてしまったけれど、これって罪になるの?」

「追突事故を起こしてしまい怪我をさせてしまったけれど、罪に問われるの?」など

日常生活で役立つ知識を学ぶ事ができるのも刑法を学ぶ魅力の一つですよね。

 

続いて、予備試験・刑法の特徴を見ていきましょう。

 

 

2 予備試験『刑法』の特徴

予備試験の刑法科目は、得意・不得意が分かれる科目とも言われています。

受験生としては、得意科目にしていきたいですよね。

また、刑法には先にも見てきた通り『総論』『各論』と分かれていますが、試験ではどちらもミックスされて問われます。

そして、受験生を悩ませる要因となる『理論(学説)の対立』問題ですが、こちらは頻出論点をしっかりと抑えるに留めて、あまり深入りしないようにする事が合格への秘訣です。

少し、細かく見ていきましょう。

(1) 短答

法務省のデータによれば、令和2年度の短答試験(刑法)の結果は、30点満点中平均点は14.5点でした。

以下、ポイントをまとめて見ましたのでご参考になさってくださいね。

 

◆判例の立場に立ち解答を導かなかればならない問題が度々出題される

◆条文知識が問われる問題も出題される

 

短答の特徴は、あまり難易度は高くなく基本的な事をしっかりと抑えていれば得点できます。論文試験対策を行っていれば短答試験では8割程度得点できるとも言われています。

(2) 論文

令和2年度の論文試験結果は、全科目500点満点中平均点は192.16点であり合格点は230点でした。全10科目ありますので1科目につきおよそ23点以上取る事ができれば合格へと近づく事ができます。(参考:司法試験予備試験論文式試験の採点及び合否判定等の実施方法・基準について

論文試験の特徴を見ていきましょう。

 

★問題文が長い(A4 1枚~1枚半ほど)

★解答は1,500字程度(A4用紙4枚以内)の論述をする

★“罪責を論じる”問題が出題される(一見難しいが型にはめてしまえば攻略できる)

 

長い問題文から、刑法上問題になりそうな論点を丁寧に抽出し丁寧に検討していく力が求められます。ここで、重要論点の拾い漏れがあると痛手となりますので注意が必要です。

罪責を論じるためには、簡単に言えば以下のようなポイントを抑える事が重要となりますので、ご参考になさってください。

 

◆犯罪論の枠組み(体系)を覚える

 →①問題分析②解答の手順③答案の枠組み

◆基本概念の定義を覚える

◆問題の所在を把握し(論点の抽出)、解決への道筋を論ずる

 

3 予備試験『刑法』の短答対策

受験生であれば、『判例の立場に従って検討すると・・・』というフレーズを何度か目にした事があるかと思います。

既に学習経験のある方にとってはお馴染みのフレーズですよね。

 

ex.

〔問〕 次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,甲に〇〇罪が成立しないものはどれか。

1・・・・

2・・・・   以下 省略

 

このように刑法では、“判例の立場に立った場合にどのような結果となるのか”が問われる事が多いのです。

従って、テキストに出てくる『判例』はしっかりと抑えておく事が大前提となりますので、日々の勉強においても常に“判例の立場”を意識しておく事がとても大切です。

 

それでは、下記でじっくり見ていきましょう。

(1) 論文対策が短答対策も兼ねる!

「論文・・・全く歯が立たず書けないから、インプットが完成してから手をつけよう。」

などと思われていませんか?実は、この論文対策(アウトプット)を後回しにしてしまうと後々苦労する事になりかねません。それはなぜなのでしょうか?

なぜなら、予備校の講義を聞いただけ、テキストを読み込んだだけでは論文が書けるようにはならないからです。

論文を書く練習、つまりアウトプットを徹底して行わなければいつまで経っても合格レベルの答案を書く事はできるようにはなりません。

ですが現実には、言うは易し行うは難し・・・ですよね。

「テキストをもっともっと読み込んでからではじゃないとアウトプットは怖いな・・。」

などと自分で決め付けていませんか?

これまでの人生において『論文を書く』という作業をしてきた方はなかなかいないのではないでしょうか。経験がないのですから、ましてや予備試験の合格レベルに叶う論文が書けるようになるはずがありませんし、それが普通の事でもあると言えます。

自分でスタートするタイミングを決め付けずに、ある程度勉強が進んだら積極的にアウトプット学習に着手してみてください。最初は書けなくても少しずつ書けるようになってきますし、テキストや条文を繰り返し見る事になりますので、必然的に『短答合格の力』も付いてきます。

怖がらずに、安心して論文学習を行いましょう!

 

(2) 条文の素読が効果的!

前述の通り、刑法の条文は246条しかありません。

この条文の中に答えが凝縮されていると言っても過言ではありません。

なぜなら、条文知識さえあれば瞬時に解答できてしまう問題も出題される事があるからです。学説の対立が題材とされている問題よりははるかに簡単ですよね。

したがって、日頃から条文を確認する作業を怠らずに手元に置いて勉強する事は有益と言えますよね。寝る前に、毎日10条ずつ読んでも1ヶ月もしないで読み終わってしまいます。

最優先順位の勉強法とまでは言えませんが、試してみる価値は大いにありますので、是非ご参考になさってくださいね。

(3) 使用教材

◆基本書

◆六法(判例六法)

◆過去問題集 など

※論文対策には、後述の「論証集」があると便利です

 

短答も論文も使用する教材にほとんど変わりはありません。

予備校に通われている方は、あまり色々なものに手を出さずに予備校のカリキュラムに沿った教材を使われる事をおすすめします。

 

基本的には、基本書でインプットし、都度『条文』に目を通し確認する作業でインプットを行います。予備校に通われている方は、講義を聴く事と並行してこれらを行います。

ある程度学習が進んだら(ex.「刑法の基礎理論」の部分が終わったら)そのタイミングでアウトプット(過去問)を行っていきましょう。

恐らく、解けない問題も多いでしょうが気にする必要は全くありません!

解けなかった問題に関しては、解説を読み、基本書や六法で条文を確認するなどして知識の定着を図りましょう。

 

短答プロパーと呼ばれる、論文試験には出題されない論点などがありますが、過去問でしっかりと潰していけば恐れるに足りずです。

4 予備試験『刑法』の論文対策

◆基本的な刑法の知識や事実関係の問題点を理解しているか

◆問題文の事実関係を適切適切に分析・評価した上で法規範に適用(あてはめ)出来ているか

◆結論が妥当で、法的思考過程が論的であるかどうか

 

つまり、論文答案を作成するには①問題分析能力②条文適用能力③答案作成能力の3つを鍛えていく事がが必要なのです!

これらのポイントを意識して論文対策をしていく事が必要です。1問70分で問題を解かなければなりません。先にもご紹介したように、刑法には『総論』『各論』があり、短答だけではなく論文問題にも両方がミックスされて出題されます。

70分の中には、『答案構成』を行う時間も勿論含まれおり、ささっと適確に書きたいものですよね。残念ながらあまり悩んでいる暇はありませんね。

また、刑法の論文に関しては、多くの受験生が7科目ある中で最も早く論文を書けるようになる方が多いのではないかと思います。

その理由は、刑法の事例自体が見聞きした事が多いので馴染みがあり『答案の型』にあてはめてしまう事ができるからです。

【総論の体系】

総論は、以下の中から論点となる該当箇所を厚く書き全体のバランスをとるのがポイント

①構成要件

②違法性

③責任

④共犯

 

【各論】

各論は、個別の犯罪について(ex.窃盗罪、傷害罪など)構成要件を満たしているか否かをコンパクトに書き上げるのがポイント

注意すべきポイントとしては、先にも触れましたが、理論(学説の対立など)の深入りはしすぎない事です。

刑法の勉強を進めていくとさまざまな理論(学説)の対立に触れる事となります。この理論についてですが、深掘りしすぎてしまうと思いがけずゴールが遠くなってしまい危険です。気になる気持ちはそっと留め、今は合格する事を目標に素直にテキストに沿って進めてしまった方が得策といえそうですよね。

言葉を選ばずにいえば、全ての『理論(学説)』を事細かく分析・理解する必要はありません。法律学者になろうとしているわけではありませんよね。

理論に関しては、一定程度の理解度で理論構成→問題の事例を当てはめていく事がどれだけできるか、その能力が試されていると言えます。

当然の事ですが、全く的外れな事を書いても点数をもらう事はできません。

例えば、法務省が例年発表している『司法試験予備試験論文式試験問題と出題趣旨』を参考にし、自分の答案と見比べて過不足の有無を確認してみても良いかもしれません。

 

多くの受験生が得点源としている科目とも言えますので、万全の態勢で試験に臨みたいところです。

 

(1) 論証集

本番当日に効率良く答案を仕上げるために!

◆『論点』を理解する

◆『キーワード』を覚える

◆論点とキーワードを盛り込んだ論証パターンを身に付ける

×ただし、丸暗記はおすすめしない

 

まず、大前提として論文試験で効率良く論点を吐き出すには、法律上の論点の書き方を典型化(パターン化)させる事が重要です。

試験本番で答案を書く際に、書き直してばかりいては時間がもったいないですよね。時間が足りなくなってしまって、途中答案となってしまったり論点の取りこぼしをしてしまっては元も子もありません。

 

論証集は、法律上の『論点』と言われる部分を典型的な書き方でまとめたものです。

また、併せて『キーワード』を必ず抑えるようにしてください。まずはキーワードだけでも覚えるように努力してみてくださいね。

あくまでも、典型的な書き方ですので論証集に書いてある文章そのものを丸暗記すれば良いと言うわけではありません。

論証集に書いてある文章は、あくまでも一例ですので、キーワードが適切に書いてあれば書き方は厳密さが求められるわけではなくある程度は許容されます。

これからさまざまな問題に触れていく事になりますが、その度に論証集に書かれていない論点も出てくるでしょう。そのような時は、論証集に書き込むなりしてオリジナルの論証集を作り、自分の論証をストックし強化していきましょう!

 

くれぐれも勘違いしてはいけないのが、『暗記に頼ってはいけない』と言う事です。論証集はあくまでも効率良く論文を書くためのツールですので、そのあたりを間違えないようにしてくださいね。

つまり、日頃から『キーワード』や『論点』を意識した勉強が大事だと言う事です。

 

暗記学習は限界があり辛いものです・・。

ものすごく頑張って暗記したとしても本当の意味での理解ができていなければ意味がありませんよね。

 

スキマ時間や、1日の終わりに論証集を見て『知識の整理・確認』『キーワードのおさらい』として有効活用されてみてはいかがでしょうか。

 

(2) 答案構成

答案構成は、いわゆるメモ書き。素早く答案に落とし込むためには不可欠。

◆何を書くか(①構成要件②違法性③責任④共犯 など)

◆条文番号(六法で確認する事を怠らない!)

◆書く順番(ナンバリングのパターンは決めておく)

◆書く分量(厚く書くべきところなどバランスを考える など)

初学者の方にとっては、論文を書くと言うイメージはできるものの、いざやり始めてみるとあまりの出来なさに愕然としてしまう事があるかもしれませんね。

ですが、これは皆が通る道ですので諦めないでくださいね。

いったいどのように対策をすれば良いのでしょうか?

 

例えば、“5分考えて分からなかったら解答を読んでしまう方法”をご紹介しますね。

まず、論文試験を突破するためには①問題提起②規範(判断基準)③あてはめを正確にできるようにしなければなりません。

特に、問題文にある事例をあてはめる事が難しく、鍛えるべき重要なポイントです。更に、合格レベルに達するには、『基本概念の定義や規範は書けて当たり前で、いかに適切にあてはめて評価(認定)できている、その評価(認定)の方法は間違えていない』レベルにもっていかなければなりません。

アウトプットをする際に、最初はテキストなどを見ながら時間制限なしでも良いのでとにかく書く事に慣れてしまう事が大切です。悩んでいる事に時間がかかり過ぎる位なら、問題文を読み5分程度考えてみて直ぐに解答や解説を読んでしまいます。罪悪感を感じる必要は全くありません。

他には、実際に手を動かし書いてみる『写経』もおすすめです。(時間的に余裕のある方)

 

初学者の方は、どこの部分が規範であてはめなのかがよく分からない事もあるかと思います。慣れていなければ当然わかりませんので、焦る必要はありませんよ!

テキストや問題集の解答欄に、色違いのマーカーで①問題定義②規範(判断基準)③あてはめをマークして、視覚的にも捉えてみるなど自分に合った方法を探し『答案構成スキル』を磨いていきましょう。

 

最後に一つお伝えしたい事があります。

予備試験合格者の声を聞くと「答案は100通以上は書いた」と言う声も聞かれます。つまり、何度も何度も書いて体に染み込ませる事が大変重要だと言う事ですよね。焦らずにコツコツと頑張りましょう!

 

参考:法務省 『司法試験予備試験論文式試験問題と出題趣旨』

(3) 過去問をまわす!

「耳にタコができるほど聞いたよ!」

予備試験の受験経験がある方ならこのように思われるかもしれませんね。

この『過去問を回す』勉強法は、予備試験に限らず全ての試験に共通して言える最強の勉強法と言っても過言ではありません。

 

余裕のある方は『旧司法試験』の問題にもチャレンジされてみてはいかがでしょうか。旧司法試験の問題は、総論・各論と分かれた問題が出題されている事から苦手な方の練習にもなりますので上手く活用してみてくださいね。

また、司法試験特有の『採点実感』なども参考にしながら、より精度を高めた答案を目指してみるのも良いかもしれませんね。

 

5 サマリー

7科目の中でも、早めに刑法の論文を書けるようになりましょう!1つでも論文が書けるようになると、自信が付いて他科目についても希望的観測を持つ事ができます。そのためには、まずはインプットを早めに1周させてしまいなるべく早く論文に着手する事です。一定の範囲ごとに行うのも良いでしょう。怖がらずに果敢にチャレンジして合格を掴み取ってくださいね!

6 まとめ

  • 刑法とは、『犯罪』と『刑罰』に関する法律であり条文数は264条とコンパクト!
  • 予備試験の刑法科目は、得意・不得意が分かれる科目であり『総論』『各論』がミックスして出題される
  • 刑法の短答試験は“判例の立場に立った場合にどのような結果となるのか”が問われる
  • 刑法の短答試験対策の一環として「条文の素読」もおすすめ!
  • 刑法の論文対策には①問題分析能力②条文適用能力③答案作成能力の3つを鍛えていく事が必要
  • 論文対策ツールとして論証集が有効!①『論点』を理解する②『キーワード』を覚える③論点とキーワードを盛り込んだ論証パターンを身に付ける事が目的だが、丸暗記はNG
  • 論文試験を突破するためには、①問題提起②規範(判断基準)③あてはめを正確にできる事が必要
  • 合格レベルに達するには、『基本概念の定義や規範は書けて当たり前で、いかに適切にあてはめて評価(認定)できている、その評価(認定)の方法は間違えていない』事が必要
  • 過去問は最強の勉強法!旧司法試験の過去問を積極的に活用しよう

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