2018年予備試験結果発表!気になる結果に関するデータを紐解くと?

2018年予備試験結果発表!気になる結果に関するデータを紐解くと?

はじめに
「今年の予備試験も終わった。他の人はどんな結果だったんだろう・・・。今年の難易度はどれくらいだったんだろう」 このような不安をお持ちではないでしょうか? 他の人の出来具合や今回の難易度が気になってしまいますよね。

そこでこの記事では、 予備試験の合格発表日や発表方法に加え、今年の予備試験は例年に比べてどうだったのか、そして合格後にまず何をすればいいのかについてご説明します。予備試験が終わって試験の難易度が気になる方、次に何をすればいいのわからず困っている方は、ぜひこちらの記事をご活用ください。

1、予備試験の合格発表の方法と日程

平成30年度の司法予備試験の合格発表日は次のとおりです。

・短答式試験:平成30年6月14日(木)

・論文式試験:同年10月11日(木)

・口述試験 :同年11月8日(木)

いずれも,午後4時頃に法務省ホームページにおいて発表されます。

法務省敷地内及び各試験地での掲示発表並びに官報公告は行われません。

なお,電話による合否の問合せには一切応じませんので注意してください。

2、2018年(平成30年)の予備試験は例年と比べてどうだったの?

(1)短答式試験

①受験者数等

・出願者 13,746人

・欠席者 2,610人

・受験者 11,136人 (うち途中欠席81人)

・受験率 81.0% (注)受験率とは,出願者に占める受験者の割合である。

・採点対象者 11,055人

今年の受験者数は13,746人でした。前年の13,178人から微増と言えます。受験者数・採点対象者数は直近3年で微増傾向です。やはり司法予備試験の人気は年々高まってきていることがここからも読み取ることができるでしょう。

② 短答式試験の合格者

・合格点 各科目の合計得点160点以上(270点満点)

・合格者数 2,661人

・合格者の平均点 177.7点

短答試験の合格点は270点中160点でした。合格点が下がった平成29年と同等の点数です。ちなみに平成28年は165点以上、平成27年の170点以上が合格点でした。

今年の予備試験と去年である平成29年度の短答式試験の結果を比較してみます。今年の採点対象者全体の平均点は 130.5 点でした。平成 29年の採点対象者全体の平均点は 130.0 点だったので今年は去年より0.5 点上昇しています。これはほぼ横ばいといってもいい数値です。また,合格者の平均点については今年の場合、 177.5 点でした。

一方、去年である平成 29 年は 174.9点であり、そう考えると今年の合格者平均点は2.6 点上昇したことになります。合格率、採点対象者全体の平均点がほとんど同じなこと、合格者の平均点がやや上昇していると考えると、今年の問題は去年と比べて全体的に「易化」したと言ってもいいでしょう。

合格率をみると、今年は 23.6%でした。これは平成 28 年の 23.3%よりも高い数字となっています。ですが、大きくとらえてみると、合格率は20%台前半だという傾向は変わりません。ここで司法試験の短答式試験をみてみます。今年の司法試験の短答式試験の合格率は70.5%でした。司法試験と比べると予備試験は明らかに「落としにきいている」といえるでしょう。

とはいえ、予備試験の合格者数自体は今年が 2,612 人で直近3年間で最も多くなりました。合格者数は昨年まで徐々に減少していただけに今年に関しては新しい傾向です。

③参考:短答式試験の得点

やはり憲法や刑法といった「努力が実を結びやすい」科目で点をとってきています。その他の科目はだいたい平年並みないし、やや易しいくらいの難易度だった考えられます。

(2)論文式試験

①合格者数など

・受験者数 2,551人(うち途中欠席等17人)

・採点対象者 2,534人

・合格点 240点以上

・合格者数 459人

法務省大臣官房人事課の公式発表によると、受験者数は 2,551 人、採点対象者数は2,534 人となりました。合格点は 240 点以上で合格者数は 459 人です。合格者数は去年の平成 29 年は 469 人、一昨年平成 28 年は 429 人と少しずつ増えてきました。今年はこの増加傾向の中で一転して減少となり、注目に値します。

短答試験を突破した人数に占める論文合格者数の割合でみてみるとこの傾向がよくわかります。例えば平成 28 年は約 17.6%、平成 29 年は約 20.4%でした。ところが今年は この割合が17.2%であり、最も厳しい倍率であったことが読み取れます。

②今年の司法試験予備試験の論文式試験

採点対象者の最高点等

・最高点 332.82点

・最低点 31.96点

・平均点 200.76点

・合格点 240点以上

今年の合格最低点は240 点以上となっています。参考までに平成 28 年が 245 点以上、平成 29 年が 245 点以上でした。もし仮に、昨年と同じ 245 点以上に合格最低点を設定したとすると、380 人しか合格せず、合格者数がかなり少なくなってしまいます。そこでやむなく5点引き下げて 240 点以上としたと考えられます。

とはいえ、今年の論文試験の難易度が極端に難化したわけではないようです。今年の出題は去年までと比べてそこまで大きく傾向が変わったというわけではないですし、奇をてらったわけでもありません。難易度としても標準レベルといえるでしょう。

③論文試験合格者数が減少した理由

論文試験合格者数が減少した理由についてもう少し詳しく考えていきます。

その理由として挙げられるのは次の3つです。

・予備試験ルートはあくまでもサブにすぎないから

・法科大学院との兼ね合い

・司法試験合格者数との兼ね合い

まず、1番目の予備試験ルートはあくまでもサブに過ぎないということについてです。司法試験受験資格を得るためのルートについては予備試験ルートと法科大学院ルートの2つがあります。そして法科大学院ルートがメインであり、予備試験ルートはあくまでもサブであるというのが公式的な位置づけとなっているのです。

次に法科大学院との兼ね合いについてですが、こちらも法科大学院の入学者数が年々減少する一方にもかかわらず、予備試験の合格者数を増加させてしまうと、法科大学院制度が崩壊してしまうことになってしまいます。法科大学院を守るためにも、予備試験の合格者数を増やすわけにはいかないのです。

さらに3つ目についてですが、現在、司法試験の合格者数は 1500 人台で推移しています。このことを踏まえると予備試験の合格者数を増やすとまずいことになるのです。

これらの理由から論文試験合格者数が減少したと考えられます。

(3)口述式試験

・受験予定者数 459人

・受験者数 456人(うち途中欠席1人)

・合格点 119点以上

・合格者数 433人

今年の口述試験も合格率が90%を超えてきました。これまでの短答式試験や論文式試験に比べると合格率はかなり高いです。とはいえ、口述試験は予備試験独自のものですから、その対策や受け答えに四苦八苦された方も多かったのではないでしょうか。

口頭試験は試験官からの質問にすぐに答えなければなりません。合格率の高さや他の受験生も実力者ぞろいということで緊張してしまったひともいたかもしれません。しかし、問われる内容は今年も例年と大きく変わることはありませんでしたので事前に口述模試などを受験して対策をしておけば対応できる範囲内だったと思われます。

(4)合格者の年齢、性別その他の構成

①合格者の性別構成

・男性 352人(81.29%)

・女性 81人(18.71%)

※ 受験願書に基づく情報

合格者の中では男性が8割強を占める結果となりました。こちらは例年そこまで大きな変化はありません。

②合格者の年齢(本年12月末現在)

・最低年齢 19歳

・最高年齢 64歳

・平均年齢 27.43歳

受験願書に基づく情報

今年の合格者の中の最低年齢は19歳でした。今年の10代合格者はこの1人だけです。逆に、最高年齢は64歳となっています。60代はこの人のほかにもう一人いるので、予備試験に受かるのに年齢は関係ないということです。とはいえ、合格者のボリューム層は主に20代学生となっています。

職種別でみてみると法科大学院生が148名も最終合格しています。法科大学院の講義と並行して予備試験を受験することで予備試験に合格した際、学費を浮かすことができるという判断によるものと考えることができるでしょう。さらにおもしろいことに、法科大学院生の予備試験合格率は1割を超えており、ほかの職種と比べると非常に高い傾向があります。

大学生も合格者数が170名と非常に多いです。ただし、合格率は法科大学院生に比べるとどうしても劣ります。そのほか公務員も合格者が多いです。合格率も悪いといえないでしょう。やはり、公務員試験である程度法律に触れていることが大きいのかもしれません。また、無職の方も合格者数は47名と多いですが、合格率でみると上3つよりも劣ります。

3、予備試験合格後にまずやること

兎にも角にも司法試験対策です。

予備試験に合格したら、めでたく司法試験の受験資格を得ることができます。11月に予備試験の合格発表があった後、次の年の5月の司法試験を受験することになります。わずか半年の間に司法試験の準備をしなければなりません。

とはいえ、臆することはありません。予備試験を突破していれば司法試験も恐れているほど合格が難しい試験ではありません。というのも、東大や慶應の法科大学院より予備試験合格者の方が合格率が高いというデータがあります。これには2つの理由があると考えられています。

1つ目は予備試験の勉強をすることで、結果として予備試験合格時点で司法試験合格に限りなく近い実力がついているからです。予備試験実施当初から変わらずこの傾向です。

2つ目は予備試験で課されることが司法試験で出題されることとかなり重なっているので改めて勉強する範囲が少ないという点が挙げられます。

司法試験の場合、短答式試験の科目数は憲法、民法、刑法の3科目のみです。さらに論文式試験の科目も大幅に重なっています。司法試験の試験科目は以下のとおりです。

(1)短答式試験

科目

問題数

得点

憲法

20~25問

50点

民法

30~38問

75点

刑法

20~25問

50点

憲法、民法、刑法の3科目ともマークシート方式で行われます。短答式試験の各科目の問題数と配点は上の表のとおりです。短答の合計点は憲民刑あわせて175点となっています。民法がもっとも重い配点となっているので民法の攻略がカギです。

ただし、司法試験には足切りがあることに注意してください。予備試験と違って、すべての科目で40%以上の得点を取る必要があります。万一、1科目でも40%未満の科目があると、他の科目がどれだけ高得点でも合格できません。予備試験は一部の科目の点数を引き上げて突破することが可能ですが、司法試験ではその手が通じないという違いに気を付けてください。これは論文試験でも同様です。

(2)論文式試験科目

科目

得点

公法系

憲法,行政法

200点

民事系

民法,商法,民事訴訟法

300点

刑事系

刑法,刑事訴訟法

200点

選択科目

100点

論文試験は必須科目7科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)と選択科目1科目の計8科目です。各科目100点満点で配分されており、満点は800点となります。予備試験の勉強をしていれば新たに勉強する分野はほとんどありません。適切な対策をすれば、特に問題なく突破することができます。

選択科目についてです。選択科目は以下の8科目より1科目を選んで解答します。

・倒産法
・租税法
・経済法
・知的財産法
・労働法
・環境法
・国際関係法(公法系)
・国際関係法(私法系)

選択科目の選択は出願時に行います。ですから願書を出す時にはどの科目を受験するか決定する必要があるのです。

(3)司法試験の合格率

司法試験は例年24%前後で合格します。見てのとおり、かなり低い合格率となっているのです。受験資格を得るのに法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要があるということを考えるといかに難しいのかがよくわかるでしょう。

ただ、先ほども書いたように予備試験合格者の合格率は平均合格率を大きく上回っています。つまり予備試験を合格すれば司法試験の合格も夢物語ではないのです。

(4)勉強方針

司法試験に向けて簡単に勉強方針を示します。先ほどから言っているように予備試験と司法試験の出題範囲はかなり重なっています。ですから、これまでの勉強を継続していくことで司法試験突破の可能性を高めていくことができます。

それに加えて、選択科目の勉強を開始する必要があります。予備試験の合格発表から司法試験の出願まで時間がありません。選択科目は出願時に届けなければいけませんから速やかにどの科目を選択するか決めて勉強に取り組んでいく必要があります。

また、短答試験についても注意が必要です。科目は憲法、民法、刑法の3科目しかありませんが、1科目でも4割未満の点数だとその時点で不合格となります。まんべんなく勉強する必要があります。

論文にかんしてはいままでやってきた内容をもう一度そう復習するところから始めてみましょう。予備試験と司法試験の出題は似通っていますからいままでの勉強を活かすことができます。

(5)司法試験の受験手続

平成31年司法試験受験願書の交付等については次のようになります。

①交付期間

平成30年11月9日(金)から同年12月4日(火)まで

②出願期間

平成30年11月20日 火 から同年12月4日 火 まで

出願は12月4日(火)までの消印有効となります。余裕をもって入手してください。

③法科大学院を通じて交付を受ける場合(1名1部ずつ)

通学する法科大学院又は法科大学院の課程を修了した当該大学院に交付を申し出てください。司法試験委員会から各法科大学院に対し、交付開始日までに受験願書を送付します。

④郵送による場合(1名1部ずつ)

郵送による交付を希望する場合は,表に赤字で「司法試験受験願書 」と記載して裏に差出人名を記載した適宜の封筒に角形2号の返信用封筒に205円分の切手を張り付けて司法試験委員会宛てに請求してください。上記交付期間内に必着 です。返信用封筒がない場合は郵送されませんので注意してください。

請求先 は次のとおりです。

〒100-8977​ 東京都千代田区霞が関1-1-1(法務省内) 司法試験委員会

⑤来庁による場合(1名1部ずつ)

Ⅰ 交付場所 :法務省1階東玄関(日比谷公園側)

「受験願書交付場所」案内図のとおり

Ⅱ  交付時間 :10:00~18:00(土曜日,日曜日及び祝日等の休日を除く )。

⑥平成31年司法試験の出願について

出願時に,各市区町村から配布された「住民票コード(11桁) 」が必要となります。ただし、住民票の提出は不要です 。

4、サマリー

いかがだったでしょうか?今年の司法予備試験の傾向を押さえることはできたでしょうか?今年は問題の難易度自体は例年並み、もしくは少しばかり易化だったかと思われます。ですが、合格者数から考えると、最終合格の難易度はここ3年間で最も難しいと言えます。

そして、予備試験を突破した次はいよいよ司法試験です。司法試験の科目数は予備試験よりも限られています。予備試験の通過者は司法試験の合格率も高いです。予備試験を突破できたなら、あとは臆することなく学習を続け、司法試験合格を勝ち取ってください。

5、まとめ

・2018年の予備試験は次の通り
・短答試験の受験者は11,136人 (うち途中欠席81人)
・論文試験の受験者数は2,551人(うち途中欠席等17人)、合格点は240点以上、合格者数は459人
・口述試験の受験者数は456人(うち途中欠席1人)、合格点は119点以上、合格者数は433人
・合格者は、男性352人(81.29%)、女性81人(18.71%)
・合格者の最低年齢は19歳、最高年齢は64歳、平均年齢は27.43歳
・短答、論文ともに例年並みの難易度だった
・論文試験を突破するのはここ3年で一番倍率が厳しかった
・予備試験を突破すると司法試験の合格率はトップクラスの法科大学院よりも高い

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