司法試験の受験資格は2パターン! 予備試験と法科大学院のどちらを選ぶ?

司法試験の受験資格は2パターン! 予備試験と法科大学院のどちらを選ぶ?

社会人として活躍されている方には、今までの経験を活かして、別の世界で活躍したいと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?年収を考えると、その中でも弁護士などが人気となっているのですが、誰でもすぐになることができる職業ではありません。では、社会人として働きながら、難関国家資格といわれている司法試験に合格することはできるのでしょうか?

また、司法試験の“受験資格”を得るには2パターンあると言われていますが、いったいどのようなものなのでしょうか?ここでは、司法試験の“合格への最適ルート”について詳しく解説していきます。

1 そもそも司法試験とはどのようなものなのか?

最初に、司法試験とはそもそもどのようなものなのかについて解説します。弁護士や裁判官、検察官のことを総称して法曹三者と呼んでいますが、法曹三者には高いスキルが要求されます。今でも、無実の人が有罪を受ける冤罪被害がなくなることはなく、人の人生を大きく左右しかねない判断を下すことができる存在です。当然のことながら、誰にでも任せることができるわけではありません。

よって、法曹三者には法律に関する必要な学識と応用能力、法律に関する実践的な思考力や判断力などが問われ判定されることとなります。合格者数は2015年以降は、受験者数が右肩下がりですが、合格者数は概ね1500人ほどを維持しています。

司法試験は、年1回開催されている試験であり、大きく分類して『短答式試験』『論文式試験』の2つに分類されます。スケジュールとしては、毎年5月中旬の4日間で、1~3日目に論文式試験、4日目に短答式試験という形で進行します。各試験について詳しくみていくと、『短答式試験』は憲法、民法、刑法の3科目について行われます。

『論文式試験』については、公法系科目と呼ばれる憲法及び行政法に関する分野の科目、民事系科目として民法、商法及び民事訴訟法に関する分野の科目、刑事系科目では刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目から幅広く出題されます。

そのほか、専門的な法律の分野に関する科目として、以下選択科目から一つを選択して受験する必要があります。

選択科目:知的財産法、労働法、租税法、倒産法、経済法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)、環境法(開催年度によって異なる)この内容だけ見ても、難しい内容ばかりでハードルが高いことがうかがえます。合格判定基準としては、短答式試験と論文式試験において最低ラインが設定されており、それに達していない科目が1科目でもあれば不合格となってしまいます。

また、後述する予備試験と異なるのは、短答式試験と論文式試験は別日ではなく、連続日として行われる点です。よって、猶予期間が無いので必要な知識をすべて習得した上で臨まなければなりません。受験手数料も28,000円と決して安くないですし、これにすべてをかけて勉強を進める必要があります。

気になる合格率ですが、近年では上昇傾向となっています。いわゆる『新司法試験』がスタートした2006年の合格率は非常に高く48.3%という驚くべき数字でした。しかし、その後の合格率は低下を辿り20%台を維持していましたが、2019年は33.6%と少し盛り返しを見せています。

司法試験に関する事柄は、司法試験考査委員によって決定されています。

司法試験考査委員の職務内容としては、司法試験における問題の作成、司法試験における採点、司法試験における合格者の判定があります。これは、法律上で決まっていることでありますが、この司法試験考査委員の考え1つで試験傾向も大きく変化することもあって、合格率は多少ばらつきがみられるのです。

また、見事に司法試験を合格しても、晴れて法曹三者になれるわけではありません。実は、最高裁判所の下の位置付けになる司法研修所に採用され、1年間所属して研修を受ける必要がありますまた、修了試験である二回試験に合格しなければならないのです。

司法試験とはまた違い、司法修習では裁判実務において事実認定をメインとした研修を行いますので、実際の事件をテーマに実際に判断を行い、それが妥当であるかを研修所教官の指導を受けつつ訓練します。場合によっては、裁判や取り調べに同席することもあります。

司法修習生は、国家公務員に準じた身分という位置づけとなっており“修習に専念をする義務”があります。その為、行動にも一定の制限が加わります。一例をあげると、修習期間中は研修所の許可なく海外渡航することが出来なかったり、副業・兼業も原則禁じられています見事に二回試験も合格すれば、法曹三者となることができます。

2 司法試験には受験資格がある!

司法試験を受験するためには、実は受験資格というものが存在していますので、誰でもすぐに受験できるわけではありません。大きく分類して、試験資格として予備試験に合格した者、そして法科大学院を卒業した方の2パターンが存在しています。

(1) 司法試験予備試験ルートとは?

司法試験予備試験とは、法科大学院などを卒業などしていなくても、司法試験を受験できる能力があることを証明できる試験となっています。

この予備試験は、受験資格がなく誰でも受験することができますので、例えば会社員として働いている方でも受験することができます。但し、内容としては司法試験とほぼ同等レベルであり、難易度が高い試験です。

予備試験では、短答式試験と論文式試験、そして司法試験にはない口述式試験があります。短答式試験と論文式試験については、内容は司法試験とほぼ同じで幅広いジャンルから出題されますまた、口述式試験も民事系と刑事系の2科目の中から、複数の審査官によって行われます。ただ、難易度が高い論文式試験をクリアしている方が臨むので、合格率としては高いものがあります。予備試験を合格した時点で、司法試験に受験する資格を得ることができます。

(2) 法科大学院ルートとは?

法科大学院とは、法曹三者の育成に特化して教育を実施するプロフェッショナル・スクールのことを指します。年々、犯罪なども多様化していていますし、インターネットの普及など、新しい技術も誕生して問題も山積みとなっています。これらにも柔軟に対応するために、2004年4月に法科大学院が設立されました。2020年度に新規募集している学校は35校存在しており、基本的なコンセプトとして少人数制での教育を前提としています

カリキュラムとしても、双方向で多方向を意識した授業であったり、実務研修や体験学修といった効率的かつ中身が濃い授業が行われます。法科大学院には、今まで法律などに携わっていなかった未修者を対象とした3年コースと、法学既修者が対象となる2年コースがあります。法学未修者コースでは、憲法、行政法、刑事法、民事法、商法の法学基本科目を一から学習していきます。逆に、法学既修者コースでは、法科大学院から法律基本科目を修得していることが認定される必要があります。

法科大学院が実施している、法律基本科目試験で合格が必須となりますが、実は大学などで法律基本科目を習得していなくても、試験に合格すれば2年コースとして組み入れられることができます。

見事に各コースを修了することで、司法試験へ進むことができます。

(3) 司法試験での各ルート別の割合は?

では、予備試験ルートと法科大学院ルートにおいて、司法試験の合格者数はどのようになっているのでしょうか?

大まかな傾向として、年々予備試験ルートから合格する方が増えています。2019年度は315名の合格者を排出しており『合格率』は81.8%と高水準を叩き出しています。

3 司法試験予備試験ルートのメリット・デメリット

予備試験ルートによって司法試験に臨む場合のメリットとしては、自分のペースで勉強できる点があります。会社員として働きながら、法科大学院に通うのは困難であり、一度退職して入学する必要があります。その意味で、予備試験の場合は誰でも受験できるので、会社員から目指すという方が多いのです。

また、費用としても独学で勉強するのであれば、テキストや過去問題の費用を見込んでおけばよいので、さほど負担にかかりません。一方で、予備試験に臨むにあたって自分で知識を習得していかなければならない点がデメリットとなります。

司法試験に出題される範囲は非常に広いですし、また予備試験でも同様のレベルが問われるので、自分で勉強法を確立して、スケジューリングを明確にして進めていく必要があります

また、法科大学院の場合は最新の傾向なども指導してくれますが、予備試験コースではその情報源も確保しなければなりません。よって、自分自身である程度勉強を進めることができる方向けのコースとも言えます。

4 法科大学院ルートのメリット・デメリット

法科大学院ルートを選択するメリットとしてはほぼ確実に司法試験まで進めることができる点があります。予備試験ルートの場合、試験難易度が非常に高く、簡単に合格できるものではありません。

よって、司法試験そのものまでに確実に進みたいという方にはお勧めできる方法です。また、法曹三者に特化したカリキュラムとなっているので、必要な知識を得やすいという点も魅力的です。但し、法科大学院では授業費として平均150万円程度かかります。

法科大学院でも奨学金のような形で授業料が免除を受けることができますが、負担になることは間違いありません。費用面を考えて法科大学院をあきらめる方もいますまた、法科大学院で法学未修者コースに進むと、最低でも司法試験に進むまでに3年間かかってしまいます。

予備試験ルートでは、最短1年で司法試験にまで到達できることを考えれば、時間的なロスも発生するのです。司法試験の既修者・未修者別の合格状況についてですが、ここ10年程で見ると既習者の合格率は概ね30%台となっており2019年では11年ぶりに40%台に上昇しています。一方で、未修者の合格率は10%台を維持しておりあまり高い合格率とはいえないのが実情といえます。

5 社会人は予備試験ルートを選ぼう!

予備試験ルートと法科大学院ルートのメリットとデメリットを鑑みると社会人として働きながら司法試験に合格するためには、予備試験ルートがベターな方法と言えます。特に、時間的な制約を考えると、法科大学院に通っている時間は無いのが実情です。また、予備試験ルートであれば自分のタイミングで勉強することができる点も魅力的です。

6 おわりに

司法試験を受験するための方法としては、2つのルートがあることをご理解いただけたかと思います。時間の制約がある忙しい社会人としては『予備試験ルート』を選ぶことをおすすめしますただし、予備試験自体も非常に難易度が高い試験ですので、しっかりと準備を進めて試験合格に向けて勉強を重ねていってください。

7 まとめ

  • 司法試験とは法曹三者に必要な知識などを判定する試験である
  • 司法試験は短答式試験論文式試験4日間にわたり行われる
  • 司法試験の受験者数は年々減少している
  • 司法試験に合格した後に、司法研修所に採用されて二回試験に合格すると晴れて法曹三者になれる
  • 予備試験ルートとは予備試験を合格することで司法試験に受験できるルートを指す
  • 法科大学院ルートとは、法科大学院を修了することで司法試験に受験できるルートを指す
  • 予備試験ルートは誰でも受験できる反面、難易度が高く勉強法も自分で確立する必要がある
  • 法科大学院ルートはほぼ確実に司法試験にまで進むことができるが、働きながら通うのは難しく、費用面もデメリットとなる

 

 

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