司法試験の受験資格は2パターン! 予備試験と法科大学院のどちらを選ぶ?

司法試験の受験資格は2パターン! 予備試験と法科大学院のどちらを選ぶ?

社会人として活躍されている方の中には、今までの経験を活かして別の世界で活躍したいと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ワークライフバランスや年収を考えると、その中でも社会的信頼度が高く高収入である弁護士は魅力的な職業の中の一つといえます。しかしながら、弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりません。難関国家資格の中でも文系最高峰といわれる司法試験に合格することは誰もができることではないことは周知の事実といえます。

 

では、難関国家資格といわれている司法試験に、社会人として働きながら合格することはできるのでしょうか?

 

また、司法試験には前提となる受験資格を取得しなければなりませんが、この“受験資格”を得るにはいったいどのような方法があるのでしょうか?

 

この記事では、“司法試験の受験資格を得るための最適ルート”について詳しく解説していきます。

 

1 司法試験とは?

端的にいえば、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になるための国家試験です。ドラマや映画でも、法律を題材とした作品が増え、法曹三者がグッと身近な存在になったと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

また、司法試験にチャレンジする受験生にとっても、輝かしいキャリアで事件を解決していく作品を見てモチベーションアップに繋がるという声も聞かれるところです。

 

司法試験とは、具体的にどのような目的で行われる試験なのでしょうか?

法律により、その目的等は以下のように定められています。

 

【司法試験法】

(司法試験の目的等)第一条 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。

法曹三者になるためには、文系最高峰の難関国家資格である司法試験に合格しなければなりません。

なお、司法試験は年に1回実施され、例年5月中旬の中1日を挟み5日間にわたり「短答式試験」と「論文式試験」が行われます。(※令和5年より試験制度の変更により実施時期が異なります。)

 

また、司法試験合格後に司法修習を経て二回試験に合格してはじめて法曹三者の資格が与えられるという点も押さえておきましょう。長く険しい道のりであることに違いありません。

 

2 司法試験を受験するには受験資格が必要

【司法試験の受験資格を得るには2つのルートがある!】

◆法科大学院修了(※注1)

◆司法試験予備試験合格

 

司法試験は、制限なく誰もが受けられる試験ではありません。

前提となる司法試験の受験資格を得るには、上記2つのルートがあります。法科大学院修了(以下 法科大学院ルート)または、予備試験合格(以下 予備試験ルート)のどちらかを経なければ司法試験の受験をする資格を得ることができません。

 

 

(1) 法科大学院ルート

法科大学院では、司法試験受験に必要な課程を修了するまでに2〜3年かかります(選択するコースによる)。法科大学院は司法制度改革の一環として、ハイクオリティな法律家を養成することを目的とし2004年に誕生しました。じっくりと時間をかけて法律を学ぶことができ、切磋琢磨しあえる仲間や教授、先輩などに恵まれれば充実した時間を過ごしながら、確実に司法試験受験資格を得ることができます(ただし、受験資格を得るためには法科大学院課程修了が要件(注1))。

 

(2) 予備試験ルート

一方で、予備試験ルートは、年齢・学歴関係なく誰もがチャレンジすることのできる試験です。令和3年度の予備試験合格者の中には、現役高校生が合格するという快挙が報道でも取り上げられました。司法試験合格率もズバ抜けて高いので、近年では現役の大学生や大学院生が予備試験受験を経て司法試験にチャレンジするというルートがトレンドとなりつつあります。また、社会人合格者も多く輩出していることから、一度諦めた夢を実現するための手段として多くの社会人受験生から支持されていることもまた事実です。

 

【司法試験に関する令和5年からの変更点まとめ】

(※注1)

令和5年より、一定の条件を満たすことにより法科大学院在学中においても司法試験を受験することが可能となります。詳細については、法務省等のホームページを随時チェックされることをおすすめします。

参照:法務省「司法試験法の一部改正等について」

   文部科学省「法曹コースとは」 

(※注2)

令和5年より司法試験の日程が例年5月中旬から7月中旬へと変更となりますので、試験情報については、最新情報の収集等をなさるなどくれぐれもご注意ください。

参照:法務省「司法試験委員会会議(第168回)議事要旨」

 

3 法科大学院ルートのメリット・デメリット

法科大学院ルートには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

まず、メリットとして挙げられるのは、法科大学院ならではの幅広い知識を深く学ぶことができる点です。勉強仲間ができやすくモチベーションの維持だけではなく、競争心が生まれるので切磋琢磨しながら司法試験対策へ取り組むことができる点が魅力の一つともいえます。

 

また、大学院の先輩に答案を添削してもらったり、ゼミを活用、試験に関する情報共有などができる点は法科大学院の大きなメリットといえるでしょう。

 

一方で、デメリットはやはり学費が高額になりやすい点です。時間をかけてさまざまな経験を積みながら学ぶ分、時間も費用もかかるのはある意味仕方のないところでもありますので、支えるご家族の理解が得られるようにしっかりと各法科大学院の奨学金情報などはリサーチしておきたいですね。

 

以下のデータは、令和3年度の法務省の法科大学院に関するデータです。費用対効果の面から考えても合格実績の高い法科大学院を志望されるかと思いますので、一つの考慮要素としてご参考になさってみてください。

順位 法科大学院名 受験者 最終合格者 合格率(対受験者数)
1 予備試験合格者 400 374 93.50%
2 愛知大法科大学院 3 2 66.70%
3 京都大法科大学院 185 114 61.60%
4 一橋大法科大学院 110 90 58.20%
5 慶應義塾大法科大学院 227 125 55.10%
6 東北大法科大学院 39 20 51.30%
7 東洋大法科大学院 2 1 50.00%
7 山梨学院大法科大学院 4 2 50.00%
9 早稲田大法科大学院 231 115 49.80%
10 岡山大法科大学院 33 16 48.50%

 

【既修・未修別】

既修者法学部 763人
既修者非法学部 66人
未修者法学部 152人
未修者非法学部 66人

令和3年度司法試験(予備試験ルート)-最終合格者-【職種別】

【職種別】

最終合格者(人)
公務員 18
教職員 0
会社員 31
法律事務所事務員 3
塾教師 0
自営業 9
法科大学院生 105
大学生 153
無職 44
大学院生 1
その他 10

 

4 予備試験ルートのメリット・デメリット

予備試験ルートのメリット・デメリットについてみていくことにしましょう。

予備試験ルートの最大のメリットは、「時間的・経済的負担が抑えられる」点です。また、合格率が非常に高い(後述)点も魅力の一つといえます。

 

また、予備校のカリキュラムにより異なりますが、最短で1年半くらい〜2年ほどで合格を目指すことができますので、法科大学院と比較すると早期合格を目指せる可能性が高まります。年齢や学歴も関係ありませんので、たとえ社会人の方でもやる気があれば予備試験にチャレンジすることができます。

 

デメリットについてもしっかりと確認しておきましょう。予備試験ルートのデメリットは勉強仲間ができづらく挫折しやすい傾向にある点が挙げられます。勉強自体も難しいため、モチベーションの維持が難しいともいわれています。

 

また、予備校によっても自分のライフスタイルや経済面に合っていなければ無理が生じ、挫折の原因となり兼ねませんので、予備校選びは慎重に行うことをおすすめします。

 

5 社会人に予備試験ルートがオススメの理由とは?

忙しい社会人の方におすすめなのは、働きながらでも合格を目指すことが可能な「予備試験ルート」です。最近では、さまざまな広告などでも予備試験というワードを目にする機会も増えてきましたが、なぜ人気があるのでしょうか?

 

大きな理由の一つとして考えられるのは、先にも触れたとおり「時間的・経済的な負担が少ない」ということですが、最大の理由は「司法試験の合格率が飛び抜けて高い」ことにあるのではないでしょうか。

 

下記の法務省のデータから客観的に見ておわかりいただけるように、予備試験合格者の司法試験合格率は93.5%まで上昇しています(令和2年は89.3%)。予備試験に合格すれば、司法試験に合格する力が大方備わっているといっても過言ではありませんので、確実に司法試験合格圏内を目指すことのできる予備試験人気が高まるのも頷けますよね。

 

総計 予備試験合格者合計 法科大学院   合計
合格者数(合格率%) 1,421人(41.5%) 374人(93.5%) 1,047人(34.6%)
出願者数 3,754人 412人 3,342人
受験予定者数 3,733人 412人 3,321人
受験者数 3,424人 400人 3,024人
短答式試験の合格に必要な成績を得た者の数 2,672人 400人 2,272人

参照:法務省「司法試験の結果について」

 

予備試験に合格するためには、予備校をうまく活用し効率良く試験対策を行うことが最善策といえるでしょう。予備校を利用したからといって確実に合格することができるほど甘い試験ではありませんが、予備校の受講形態(通学orオンライン)がご自身のライフスタイルに合っているか、わかりやすい講義かどうか、テキストの品質、受講生フォローの充実度などをチェックされることをおすすめします。

 

6 サマリー

司法試験の受験資格を得るためには、2つのルートがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。どちらのルートもそれぞれ魅力がありますので一概にどちらがベストと言い切ることは難しいです。時間的・経済的な負担が少なく合格率が高い予備試験ルートは一般的に社会人に向いているといわれています。一方で、同じ志を持った仲間と切磋琢磨しながら過ごす法科大学院での時間は後に大きな財産となるでしょう。どちらも魅力的といえますので、将来設計を行った上で事前リサーチはしっかりと行いましょう。

7 まとめ

司法試験とは、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になるための国家試験

・司法試験の受験資格を得るためには2つのルート(法科大学院修了or予備試験合格)がある

・法科大学院のメリットは、「幅広い知識を深く学ぶことができる」「勉強仲間ができやすくモチベーションの維持がしやすい」

・予備試験ルートのデメリットは、勉強仲間ができづらくモチネーションの維持が難しい点

・予備試験ルートがおすすめの理由は、「時間的・経済的な負担が少ない」「司法試験の合格率がズバ抜けて高い」点が挙げられる

 

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